東京を中心に江戸前寿司「魚がし日本一」などの飲食チェーンを展開するにっぱんは、老朽化した受発注システムの刷新を足掛かりに情報システム全体を見直し、業務改善を図った。
築地に本社を構えるにっぱんは、江戸前寿司チェーン「魚がし日本一」や魚菜料理「青柚子」などを東京、神奈川エリアで展開している。経営企画部 計数情報管理室の近藤洋一室長が社内の情報システム担当となった2004年当時、同社は情報システムにまつわる多くの悩みを抱えていた。業務プロセスの見直しを進める中で、まずはメンテナンス不可能となっていた受発注システムの老朽化という課題解決に取り組んだ。
それまで店舗と本部の間の受発注業務はFAXなど紙ベースで行われており、従業員が手入力しないと情報が上がってこないという問題があった。例えば、売り上げデータが1週間経ってようやく本部に上がってくることも多々あり、経営判断するには遅過ぎたのだった。
近藤氏が担当する以前からもプロセス改善に対する声はあったのだが、それでもなかなか改善できなかった理由の1つは、鮮魚という商品のデータ管理が難しい点である。例えば、重さ1キロのブリが欲しいと思っても、ちょうど1キロ分を購入するのは容易ではないし、別の種類の魚しか用意できない日もある。データの誤差を埋めるにはどうしても手作業が必要となり、時間がかかってしまっていたという。「店舗から情報を素早く吸い上げ、月次決算を早くしたいという思いがあった」と近藤氏は振り返る。
そこで受発注システムの刷新を図るとともに、業務プロセスの改善に向けて情報システム全体の見直しを検討した。システム構築を一括で引き受けてくれる会社を求めてさまざまなベンダー企業に相談を持ち掛けたが、億単位の開発コストがかかるなど条件の合う企業は少なかった。そうした中で最終的に選んだのは、財務会計システムを開発、販売するJICである。他社と比べてコストが安かったほか、提案の段階で情報システム全体の設計図ができていた点などを評価した。
「これまでのシステムを捨てて、独自のシステムを1からつくり直したいという思いがあった。JICは受発注システムの個別開発からネットワーク構築に至るまですべてを請け負ってくれた」(近藤氏)
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授