2010年度のIT投資の重点分野を、「アプリケーション」「インフラ」「開発・運用」という3つの軸で聞いた。
営業活動や顧客関係管理のアプリケーションに対する投資意欲が高い。具体的には「販売支援・営業支援」(32.7%)、「文書・コンテンツ管理」(26.9%)、「販売管理」(26.3%)がトップ3だった。一方、「管理会計」「財務会計」「人事・給与」といったバックオフィス業務向けアプリケーションへの投資意欲は低い。2010年度は、企業の売り上げに直接貢献するアプリケーションへの投資が進む傾向になる。
2009年度と比べた投資意欲を聞いたインフラ分野では、投資を考えている目立った分野は少ない。「データセキュリティ(暗号化など)」「クライアントPC」「ストレージ(NAS・SAN)」において、ほかのインフラ分野よりもやや旺盛な投資意欲がみられた。
サーバでは大型(5000万円以上)/中型(500万円以上)のサーバへの投資予算が減少しており、投資計画がないと答えた企業も多い。IT投資における重点課題の1つとして挙がっていたインフラの統合・最適化を導く「データ統合ツール(MDM/ETL)」「SOA関連ツール(ESB/EAI)」も、6割超の企業が投資する計画はないと答えている。
開発・運用領域では、「外部データセンター利用」「運用の外部委託」「開発の外部委託」というアウトソーシング関連への投資が、2009年度に比べてやや増える見通しだ。
2009年度に実施したコスト削減の施策では、「不要なハードウェアの廃棄など、配置面での整理」が3割超となり、最も多かった。「ハードウェア(サーバ、ストレージなど)の統合・仮想化による整理」を進めた企業は22.3%だったが、その準備としてハードウェアの廃棄を進めたとみられる。
ベンダーとの関係に依存するコスト削減策では、「開発・運用の内製化」(21.7%)、「既存契約の内容・条件の見直し」(25.6%)が高い。IT投資の延期を表す「新規ITプロジェクト予算の凍結」も24.1%となり、大規模なコスト削減も進んだ。
2009年のIT投資動向を見ると、前年よりも一層厳しい投資を強いられている企業が多い。重点課題とされる投資分野では売り上げに関連する攻めの投資を考える企業が出始めていることが明らかになった。
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明治学院大学 経済学部准教授