ホワイトカラーの生産性の低さが話題に上って久しいが、まだまだ改善の余地がある。今日から1人でもできるオフィスの「在庫削減」を始めてみよう。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
日本の製造業の生産性はトップクラスですが、それに比べて日本のホワイトカラーの生産性の低さが指摘されています。
製造業は工場という現場で日々改善を行っています。改善の指標としてさまざまなものがあり、その1つが在庫です。在庫を持つことはコストが掛かりますし、売れなければ廃棄リスクにもなります。在庫はできる限り少ないことが望ましく、多くの製造業で製品や材料を対象に在庫削減が行われ、着実に効果を出しています。
一方、ホワイトカラーの現場はオフィスです。オフィスワークでも、効率化を求められますが、なかなか成果が出ていないのが実態です。オフィスワークは製造業と違って製品や材料といった「もの」を対象としていません。ですから、日本の製造業の進んだノウハウをそのまま適用することはできません。しかし、在庫削減での考え方や手順のいくつかはオフィスワークを効率的に行う上で参考になるのです。
拙著「世界一わかりやすい在庫削減の授業」は、ヤマヅミ商事の貝杉(カイスギ)社長が、山のように抱えた在庫をコンサルタントの指導を仰ぎながら在庫を減らしていくというストーリーです。その手順は大きく次の通りです。
ステップ1:整理
実際に工場に行ってみると、山と積まれた在庫にあぜんとします。コンピュータの数字でも在庫が多いのは分かっていましたが、いざ自分の眼で見てみるとその多さにがくぜんとしてしまいました。実物を見ると、箱が壊れていたり、ものが傷んだでいたり、とても売れるはずがないような製品が存在していたりと、コンピュータでは分からなかった問題が見つかります。売り物にならないものを多く抱えてしまうと、倉庫から欲しいものを探し出すのは大変です。まずはいらないものを捨てるという整理から始めます。それによって、倉庫数が減り、賃料が削減し、倉庫の作業員が少なくなります。
ステップ2:分類
在庫を少なくするためには、在庫が増えないように発注することが必要です。そのためには需要を予測したり、業者との交渉をしなければなりません。しかし、ネジなどの安い部品の注文に手間が掛かり、逆に高額な部品に十分手間が掛けられずに不要な高額部品を抱えてしまうこともあります。効率的に在庫を減らすには、売れている物と売れていない物を分類して、売れている物には手間を掛け、売れていない物には手間を掛けないで発注するようにしていきます。
ステップ3:小まめに買う
従来はまとめて買えば安くなるとばかりに大量購入が良いとされていました。しかし、現在のような顧客のニーズが多様化していて、製品のライフサイクルが短くなっている中で、大量に買うことは在庫を抱えてしまうことにつながります。そこでまとめて大量に買う方法から、こまめに買う方法に改善します。
この後も、売れ行きに応じて買う、在庫の持ち方を変えるなどのステップを踏んでいきながら個々の改善をすることで在庫は着実に減っていきます。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授