事業の方向性の相違によりITガバナンスがどのように変化するのかについて、3回に分けてご説明します。今回は3回目です。
事業の方向性の相違によりITガバナンスがどのように変化するのかについて、3回に分けてご説明します。第1回、第2回はこちらです。
高い成果を達成している企業は、ITガバナンススタイルに自社のビジネスの方向性を反映させています(エグゼクティブの支持を得たIT活用によるシナジー向上アプローチをITガバナンススタイルに反映させている企業もあります)。この目的は、自社のビジネスの方向性に沿ったITガバナンスを確立して、ビジネスを支援することです。自社のビジネスの方向性に配慮した意思決定スタイルを採用し、企業価値を高めるようなメカニズムを選択しています。また、企業の行動基準に即した単純な伝達手法を活用しています。
第1に、いずれの状況においても数多くのメカニズムが必要となることを忘れてはなりません。例えば、事業部門とIT部門の共同による意思決定を可能にする審議会または委員会は常に必須です。3つのビジネスの方向性(シナジー、アジリティ、自立性)の違いによって異なるのは、委員会や審議会のメンバー構成、活用法、企業内の設置場所、そして責任の範囲と本質です。
第2に、財務・人事・ITなどの業務機能は共通のインフラを提供することが期待されます。より自立性志向の強い企業でさえ、全社的なインフラやビジネスを支援するインフラにおけるシナジーをより一層高めることが、ITガバナンスの責務として課せられる場合があることに注意が必要です。
まず、貴社の現状を評価する必要があります。そして、貴社の現状を評価し、その結果に基づいて行動します。
ステークホルダーの賛同の不十分さが、深刻な「弱点」であると判断される場合があります。そのような場合は、プロセスやプロジェクトなど、ある1つの限定的な領域において現状より効果的なガバナンスを確立することに取り組みます。選択する領域は、取り組みが極端に困難ではなくCIOの影響力が発揮される領域とします。領域を特定したら小規模で適正なガバナンスを構築し、好しい実例について学習し、さらに貴社のエグゼクティブやチームに模範として提示します。
貴社のビジネス・ガバナンスの定義があいまいであったり、意思決定権が不明瞭で説明責任の所在が紛らわしい場合があったりという事実を、CIOが実例を示して適切なガバナンス制定を主導します。
2006年にガートナー ジャパン入社。それ以前は企業のシステム企画部門で情報システム戦略の企画立案、予算策定、プロジェクト・マネジメントを担当。大規模なシステム投資に端を発する業務改革プロジェクトにマネジメントの一員として参画した。ガートナーでは、CIO向けのメンバーシップ事業「エグゼクティブ・プログラム(EXP)」の日本の責任者を務める。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授