サービストータルでの機能向上と低価格の両立が求められること、固有システム開発量の減少を中心にビジネス規模が縮小することから、垂直統合化・規模拡大・グローバル化の進展・階層構造の崩壊、といった業界構造の変質が進むことが想定される。
1.垂直統合化:顧客に提供するサービスをより安価に構築する上で、バリューチェーン間での擦り合わせコストを最小化する必要があること、各バリューチェーンから流出する収益をカバーすべく領域を広げる必要があること、から、垂直統合型に移行する。
2.規模拡大:データセンターを中心として単位コストの引き下げが最大の競争要因となるため、規模拡大を指向する。システム資源の稼働平準化の観点からも、例えばピークがずれる複数の顧客・業務をいかに組み合わせるかが重要になるため、カバーする顧客・業界・業務の幅を拡大する。
3.グローバル化の進展:規模拡大要請から新たな市場への展開が期待される中、ネットワークの進化で物理的な距離の意味がなくなるため、グローバルの垣根が一層低くなる。日本市場のみに立脚していたプレーヤーは大変な危機に晒されることになる
4.階層構造の崩壊:顧客固有システムのためのSIや運用・保守の業務が激減すると、重層構造の維持が困難になる。引き続き内製化されるシステム、クラウドと企業システム全体とのインタフェース等は残るが市場規模が絶対的に縮小し、顧客固有の既存システムに関する深い知識と高い技術を持たない下層レイヤーのプレーヤーは、ビジネスを失う。
遠くないクラウド時代において、クラウドへの対応を含む新たな収益源の模索、および前提となる強みの確立が必要になる。
新たな収益源の模索のため、クラウドサービス戦略が必要となる。バリューチェーンを拡大して垂直統合型に転換、処理ピークが異なる企業や業界を取り込みリソース効率も高めながら事業規模を拡大する。国内市場の拡大が期待できない中、グローバルの展開も検討すべきである。スピード感ある事業構造の転換にはM&A戦略も有力な手段となる。
数あるサービスの中から自社クラウドサービスが選ばれるためには、業務知識の蓄積を元に多くの顧客が共用できる基本クラウドサービスの開発が重要となる。重点市場での強みを強化するための営業戦略、コスト体質の強化、身の丈にあった市場にフォーカスを絞るための事業構造改革、が必要となる。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授