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» 2010年11月01日 08時00分 公開

女流コンサルタント、アジアを歩く:アジアの新興勢力バングラデシュは世界への扉 (3/4)

[辻 佳子(デロイト トーマツ コンサルティング),ITmedia]

日本企業が取るべきスタンス

 最近ようやく日本企業が対バングラデシュとして動き出している記事を目にするようになった。しかし、多くの場合、通常のビジネス取引ではなく、ソーシャルビジネスやBOPビジネスといった「社会貢献」の側面が強く謳われている。これは、当然、中・長期的な戦略展開の中で、まず、ソーシャルビジネスやBOPビジネスを入口にするという考えであろう。重要なのは、その中・長期的な戦略がどのように考えられているかである。以下に、わたしの考えを示す。

 かつて日本企業が中国に進出したときには、労働単価の安さに目を付け、中国に生産拠点を構え、それを主に日本市場で売るというビジネス形態であった。また、セールス/マーケティングという観点においては、中国の巨大な市場において、いかに企業や製品のブランドポジションを確立するかということに注力してきた。しかし、バングラデシュに対して、同じような戦略を持つのは誤りである。

 バングラデシュの人口は世界7位とは言え、中国の人口に比べればはるかに少ない。世界の企業が生産拠点としてバングラデシュを捉えると、国土が狭いこともあり、労働単価は急速に上昇してしまう。また、土地単価が高く、交通インフラにも問題があるため、労働単価の安さが魅力を持つ期間は極めて限られている。つまり、ソーシャルビジネスやBOPビジネスを入口にした後、中国の次を担う生産拠点と考えるのであれば、それは誤りである。生産拠点としての魅力は、現在のバングラデシュが持つ魅力であって、中・長期で見た場合の魅力とはならないと考えるべきだ。

 では、消費市場としてはどうか。バングラデシュは、日本の人口を越える1億4,000万人強の人口であるから、魅力がないわけではないが、中国の巨大な市場に比しては圧倒的に小さい。少なくとも、規模という観点のみでバングラデシュを重要な消費市場と捉えることはできず、当然ながら、中国に次ぐターゲット市場とはならない。

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