セントラルワールドなどのデパートに行くと、わたしは、必ずと言っていいほど、LMEのお店(ESPADAなど)で足を止めてしまう。LMEの商品は、わたしのような日本人女性にとって、かわいいし、すてきと思えるものが多い。もちろん、高級ブランドの一流デザイナーの服と比べれば見劣りすることは否めないが、普段、日常的に使う洋服として考えると、日本のデパートよりもずっと安価で、デザイン性もいいし、品質も悪くはない。わたしたちから見て、十分満足できる商品が並べられている。
それは、先ほど述べたとおり、日本のファッション事情を把握し、それをデザインや作りに反映しているためである。それらの商品には“日本っぽい”部分が取り入れられており、日本っぽい商品が売れるからである。
では、“日本の”商品はどうか。タイのみならず、周辺アジア諸国では、日本神話とも言うべきものがあり、日本の洋服はかわいい、センスがいい、質がいいとみなされている。これは洋服に限らず、化粧品、家電、自動車など、日本の多くの商品や製品に対して抱くイメージのようで、できることなら、その“日本の”商品を購入したいと考えているようだ。だが、実際に購入できるのは限られた富裕層であり、多くの人々は日本っぽい商品を購入しているというのが実状である。
このように見てみると、日本が持つ影響力の大きさをまざまざと思い知らされる。“日本の”ということ自体にブランド力があり、日本市場の動向に新たな文化や価値を作り出す力がある。これを一つの差別化要素、あるいは優位性として考えることができるのではなかろうか。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授