日本を襲った今回の大震災に対して、中国ではどのようなとらえ方がされているのか。“中国で最も有名な日本人”が語った。
「今ほど中国人の対日感情が健全な時期はないかもしれない」――。そう語るのは、中国で活躍する加藤嘉一氏。弱冠26歳ながら、「英フィナンシャルタイムズ」中国語版コラムニスト、北京大学研究員、「香港フェニックス」テレビコメンテーターなど、さまざまな場で精力的に活動しており、今、“中国で最も有名な日本人の若者”と呼ばれている。
3月11日に東日本大震災が発生したとき、加藤氏は都内でミーティング中だった。今までの人生で経験したことのない大きな揺れだったという。幸いにも自身は無事だったが、震災直後から一向につながらない電話、運行をすべてストップした電車、車であふれかえる道路を歩いて自宅に向かう人々の大行列など、目の前には見たことがない光景が広がっていた。
すぐさま加藤氏は北京に戻り、現地のテレビ番組に出演。昼夜問わず、東京で見てきたすべてを中国国民に伝え続けた。
今回の大震災は中国でかつてないほど高い関心を集めている。「多くの中国メディアが被災地に人員を送り込み、中国国内では震災に関する報道が連日大量になされている」と加藤氏は説明する。新聞社やテレビ局、ラジオ放送局など数多くのメディアが1社につき4、5人もの社員を日本に派遣して取材活動に当たった。中国メディアがこれだけ多くの人員体制で海外取材することは非常に珍しいことだという。
報じる内容も「非常事態においても秩序を守って整然と行動する日本人」や「文句一つ言わずに節電を徹底する企業や家庭」など、日本に対する称賛の声で埋め尽くされている。象徴的な例が中国政府系の国際情報紙「環球時報」である。「平時には反日的な記事が多いこの新聞が、中国の知識人たちの署名とともに日本の援助を呼び掛けた」と加藤氏は声を弾ませる。
また、加藤氏は北京でのあるエピソードを紹介する。ある講演会の後、加藤氏の元に大学生が訪ねてきて、親元から毎月仕送りされている200元(約3000円)を被災地に寄付したいと話した。「200元はわずかな金額かもしれない。しかし、中国の若者が自分の生活を我慢して日本に貢献したいという気持ちが嬉しい」と加藤氏は力を込める。
実際、この大学生に限らず、加藤氏が教鞭をとる北京大学の学生、マスコミ関係者や政府の官僚に至るまで、数多くの中国人から被災者を支援したい、寄付したいという依頼を受けていると明かす。
「これをきっかけに中国が良好な対日感情を抱き続けられるよう、両国の橋渡し役としてよりいっそう努めていきたい」と加藤氏は強調した。
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