「白帝城」をはじめ歴史的な名勝が多いことで知られる重慶。その重慶が今、直轄都市として中国国家から手厚い保護を受けながら、IT産業を大きく成長させようとしている。
2008年5月、北京五輪に向けて盛り上がりムードをみせていた中国を大地震が襲った。死者は5万人以上を超え、いまだ救出作業が続いている。
震源地の四川省にほど近く被災都市の1つでもある重慶は、古くから西部エリアの中心として大きく栄えた都市である。市内には揚子江の流れと風光明媚な山峡下りがあり、多くの観光客を受け入れている。
一方で、経済発展の戦略地域としても知られる。1997年に国内で4番目の中央直轄市になり、国家プロジェクトである「西部大開発」の中心都市となっている。もともと日本とのつながりは深く、以前からスズキ、ヤマハ、富士通、NTTデータなどの企業が積極投資している。2005年にはIT・ハイテク産業開発区「重慶市ソフトウェアパーク」が建設され、HP、IBM、Intel、Oracleなどが研究・開発センターを構える。現在では約2000社の外資企業(うち200社が日本)が進出を果たしている。
そうした中、重慶市人民政府は5月14日、都内でIT産業に関する説明会を開催。童小平副市長は中国進出を狙う日本企業に対し「(重慶で)成功するための資源は限られている。ほかの企業よりも早く先に来ることで、ビジネスチャンスをつかむことができるだろう」と意気込んだ。
海外企業の誘致に対し重慶側も積極的な姿勢を見せる。その1つが企業所得税の優遇政策だ。国の認可した経済技術開発区の生産型外資企業、およびハイテク産業開発区のハイテク企業は15%の減税となる。童副市長は「日本とWin-Winの付き合いをしたい。そのためには、日本企業が中国でビジネスを成功するために政府も全面的に協力する」と友好関係を強調。「重慶には日本語を学ぶ学生が多く、日本企業で働きたいというニーズが高い」とも述べた。
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明治学院大学 経済学部准教授