IFRSの導入にあたり、まずはプロジェクトチームを発足する必要があります。プロジェクトを成功させるためには全社横断で取り組むとともに、その推進役であるプロジェクトマネジャーの人選が鍵を握ります。
IFRSの導入にあたり、まずはプロジェクトチームを発足させなくてはなりません。実際の準備作業では、各現業部門やグループ会社を巻き込んだ全社レベルでの対応が可能な体制が不可欠です。
危機感を持った経理部門が、社内の理解を得られないまま、IFRS導入を独自に始めようとしてしまうケースがありますが、あまり良いやり方ではありません。経理部門が独自に情報収集したり検討したりしても、できることに限界があるからです。プロジェクトチームの発足に先立って、IFRS導入プロジェクトの意義や必要性について経営者の理解を得て、経営者からの「お墨付き」のプロジェクトとして活動を始めることが望ましいのです。
具体的には、「IFRSとは何であって、自社での対応がなぜ必要なのか」といった基本的な説明や、想定される負荷やコストといった情報を整理して経営者に伝えます。基本的には、経理部門で情報を取りまとめることになると思いますが、システムや内部統制に大きな影響を及ぼすことになるので、IT部門などの担当部門とも連携して重要な課題を把握すべきです。
次に、プロジェクトの枠組みについて取り決めをします。現場における重要な問題は予算になるでしょう。プロジェクトがスタートする前に経営者側が予算の許容範囲を示しておく必要があるので、プロジェクト内での投資に対する方針を明らかにしておくことが必要です。
ここで検討すべき予算は2種類あります。1つは「プロジェクトの遂行自体にかかるコスト」であり、プロジェクトに割く人員の人件費やコンサルタントへの報酬などが含まれます。もう1つは「業務の変更にかかるコスト」であり、システムに関連するものも含まれます。これらのコストは切り離して考えておくべきです。なぜなら、フロジェクトのコストについては、コンサルタントにプロジェクトの関与を依頼するかどうかで大きく変わりますし、業務変更のコストは、システムの改修をどの程度想定するかに大きく依存するからです。
プロジェクトの体制は、一般的に以下の図のようになります。
この中で最も重要なのはプロジェクトマネジャーです。プロジェクトマネジャーの適切な人選ができないと、IFRSの導入は成功しません。一般的に、経理部長もしくは経営企画部長がプロジェクトマネジャーになることが多いでしょう。IFRS導入に不可欠な会計知識を有しているという点では経理部長が適任です。しかし、経理部長の場合は、どうしてもプロジェクトが経理部門内で完結してしまいがちなため、全社的な動きをとるには経営企画部長が適しています。どのような会社であっても人材には限りがあるので、長所を生かした人選を行なうべきです。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授