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» 2011年04月14日 08時00分 公開

調査・計画段階(1) プロジェクトチームの立ち上げIFRS導入のロードマップ(2/2 ページ)

[野口由美子、石井昭紀(イージフ),ITmedia]
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社外のコンサルティングを活用すべきか

 プロジェクトを推進していくにあたり、社内の人材だけではなく、社外の人材を活用することも1つの選択肢です。IFRS導入においては、特に深い関与が必要となる会計分野のコンサルタントの活用を検討すべきでしょう。会計分野のコンサルタントは、IFRS導入プロジェクト全体を通じて参加することになり、プロジェクトの早期段階ではとりわけ重要なポジションとなります。

 必ずしも社外のコンサルティングが必要というわけではありません。しかし、以下の2つの状況にある場合は、社外の人材を活用することが効率的といえます。1つ目は、経理部門の作業負荷に耐えられるだけのマンパワーが不足している場合です。IFRSの対応は全社レベルで行なうといっても、実際の作業は会計処理の検討や経理業務に関連するものが多く、経理部門が担当する作業の比重が大きくなります。経理部が通年で決算スケジュールに追われていることが多いため、 通常の業務に加えて、IFRS導入プロジェクトのために十分な工数を確保することが難しいことがあります。

 2つ目は、IFRSについて専門知識が不足している場合です。IFRSへの対応作業には、高度な専門性を要するものがあります。例えば、日本の会計基準と経理実務の知識を持ったうえでIFRSを解釈し、IFRS適用について判断をすることなどです。

 社外にコンサルティングを依頼する場合、どのような選択肢があるでしょうか。まずは現在、自社の監査を担当している監査人が選択肢として挙げられます。彼らは担当監査人として自社と長い間にわたってかかわりがあり、自社のビジネスや会計処理を熟知しています。加えて、ほとんどの担当監査人は海外の会計事務所と提携しており、適切な海外の事例やノウハウを持っています。

 ただし、監査人としての役割を担っているので、監査とコンサルティング業務の二重提供や企業の判断に深くかかわるなどの行為は自己監査につながる恐れがあるため、望ましくありません。

 自社の担当監査人ではない別の監査法人はどうでしょうか。この場合、自己監査とはならず、監査法人が蓄積しているIFRS 導入のノウハウを活用できます。しかし、監査法人では法人の見解を重視する可能性が高いために、企業としてメリットのある方針ではなく、より保守的な法人としての方針で進めることになる場合が考えられます。

 コンサルティング会社も選択肢となり得ます。コンサルティング会社は監査法人とは違い、プロジェクトの管理や工数のかかる実作業など、いわゆるコンサルティング業務に長けています。そのため、監査法人よりも業務の幅は広くなりますし、企業のメリットを優先した方針の策定も提案できます。しかし、会計の知識を有する人材が監査法人よりも少ないので、IFRSについての十分な知識やノウハウを期待できないことがあります。

 これらの候補から提案や見積りを要求します。妥当性の高い提案を受けるためにも、複数の候補から比較することが重要です。選定作業はプロジェクトマネジャーが中心なって行ない、経営者が最終的に承認することになります。

キックオフミーティングの開催

 社内および社外の人材を選出し、プロジェクトの体制が整ったら、キックオフミーティングを開催します。プロジェクトの関係者を一堂に集め、プロジェクトの正式なスタートを宣言する大切なミーティングです。この時点では特に議論することもないからと、メンバーを集める必要がないと思われるかもしれません。しかし、キックオフミーティングにおいては、成果物文書や議論の結果を出すことが重要なのではなく、情報を共有して一体感や使命感を各メンバーに持ってもらうことが重要なのです。


※本連載は、『現場で使えるIFRS導入の実務』(日本実業出版社)の一部を抜粋、再構成したものです。
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