業界トップのセブン&アイ・ホールディングスがカナダ企業から買収提案を受け、大きな業界再編に発展するとの観測について「ノット・マイ・ビジネス(気にしない)。自分たちのビジネスに集中する」と語った。
コンビニエンスストア大手ローソンの竹増貞信社長が23日までに、産経新聞のインタビューに応じた。業界トップのセブン&アイ・ホールディングスがカナダ企業から買収提案を受け、大きな業界再編に発展するとの観測について「ノット・マイ・ビジネス(気にしない)。自分たちのビジネスに集中する」と語った。
人口減少に伴う業界内の競争激化を巡っては、新型コロナウイルス禍を経て食品や日用品、デリバリーなど多くの事業分野に注力していることを挙げ、「コンビニを競合相手としてみていない」と強調した。主な一問一答は次の通り。
――好調な業績が続いている
「コロナ禍で社会の価値観、お客さまの生活様式などがガラッと変わり、もう一度、お客さまから何を求められているのかをよく見て、加盟店と一緒に店づくりをした結果だと思う。ただ、数字的にも、まだまだスタートラインだ」
――今後の展開は
「創業50周年の来年は大きなチャレンジをしたい。一つは元気がなくなった団地など街全体を活性化させる『ローソン・タウン』構想。ローソンや保育園、医療モールなどをつくり、通信技術で全てをつないで利便性を向上する。もう一つは、来年春に1号店が開業する(現店舗に通信技術を掛け合わせた)次世代型店舗を横展開し、街の皆さんをサポートしたい」
――業績を巡りファミリーマートとの業界2位争いが激化している
「(順位は)全く気にしていない。お客さまの日常生活の中で使ってもらえる店に変わっていきたい。そうして品ぞろえを拡充し、品質も上げていくと、結果的に(販売商品に関する)全ての業界が競合相手になる。コンビニ(だけ)を競合としてみていない」
――株式を非公開化してKDDIと三菱商事による共同経営体制に移行した
「両社との間で関係が非常に良好。ローソンがやりたいことをフランクに相談できるし、それぞれ協力できることを提案してくれる。ただ、共同経営はまだ始まったばかりで、苦境が訪れるときまでに良い関係をいかに築けるかが重要だ」
――カナダのコンビニ大手から買収提案を受けたセブン&アイ側が自社買収(MBO)を検討しているとされ、ファミマの親会社である伊藤忠商事の出資も取り沙汰されている
「ノット・マイ・ビジネス。自分たちのビジネスに集中していく。商品やサービスの価値創造力を磨いていくだけ。そして『どこかにコンビニある?』ではなく、『どこかにローソンある?』といわれるようになったとき、特段(他社のことを)何も気にすることがなくなるだろう」
――力を注ぐ中国事業において地政学的リスクなどはどう考える
「いろいろなリスクがあるのは承知の上。中国では地元のオーナー、パートナー企業と一緒に商品を作っている。(リスクの軽減には)『中国のローソン』になることが大切で、地元にとっての『街の一部』になっていきたい」
――経団連が選択的夫婦別姓制度の導入を要望している
「経団連の要望に賛同する。不便を被り、不平等感を持っている人がいる。世論が変わり、財界も提言している中、政府はこの問題に一度向き合った方がいい」(福田涼太郎)
竹増貞信
たけます・さだのぶ 大阪大経済学部卒。1993年三菱商事入社。同社畜産部や広報部、社長業務秘書などを経て2014年にローソン副社長。16年から現職。大阪府出身、55歳。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授