リーダーは危機のときこそ求められる存在であり、自身の役割を果たすべき。
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3月11日にマグニチュード9.0という大地震が東北・関東地方を襲った。死亡者・行方不明者が2万人を超え、世界でも類を見ないほどの大災害となった。亡くなられた方にご冥福をお祈り申し上げるとともに、1日も早い復興を祈念している。
地震、津波、原発の問題、どれか1つが起きたとしても大災害であるのに、3つが同時に訪れ、本当に大きな危機が日本を襲っていると。平和馴れしていたわれわれに突き付けられた現実。
このような未曾有の危機が訪れたとき、リーダーはどう行動すべきか、発言すべきか、数回に分けてお話しできたらと思っている。
最初にお伝えしたいことがある。それは、「危機のときこそリーダーの出番」ということである。
人によっては、「なんでこんなときに自分がリーダーなんだ」「運が悪い」と感じる人もいるのではないだろうか。わたし自身は、リーダーは危機のときこそ求められる存在であり、自身の役割を果たすべきだと考えている。
何事もうまくいっているときには、実はリーダーはそれほど必要とされていない。リーダーがとやかく言わなくても、現場でうまく回り、業績も順調に伸びていくものである。ただし、そういう平穏なときでも適切な危機感を持ち、不慮の事態に備えておくのがリーダーとも言える。
リーダーの真価が問われるのは、このような危機、緊急の事態なのである。
リーダーの役割は、目標を設定し、その方向に向かって組織を変革させていくことである。危機のときこそ、リーダーが求められているのであり、リーダーの哲学や真価が問われる。「危機がきた。ここぞ、自分の出番だ」そのような気構えを常日頃から持っておく必要がある。
危機が起きたときに、リーダーにとってまずもっとも必要なものは何か。「何よりもスピード」である。火事が起きたと考えてほしい。3秒後に行動するか、3分後に行動するか、3時間後に行動するかで結果は大きく変わる。危機が起きた場合、やはりスピードが重要である。
その際にどんな手順を踏むべきか。次の手順である。
(1)現状把握
(2)トップのアナウンス
(3)専門家を集める
(4)状況を逐次報告する
第1に現状把握である。詳細に把握することにあまりこだわらず、大まかに状況を把握する。今回の震災のような場合、生きるか死ぬかの状況であり、そのときには、なぜ地震が起きたかなどの分析はすぐには必要なく、命を守るために現状を大まかに把握することが大切である。企業活動で考えた場合も同じで、何が起きているのか、現状の把握に努める。
第2に、現状が大まかに把握できたならば、アナウンスをする。これは社外に向けても社内に向けても行う。社外に対しては、何が起きているか、現状を把握して入手した状況を包み隠さず、明らかにする。謝罪すべきところがあるならば謝罪する。そして、今後の手順などについて説明する。社内に対しても同じく現状について知らせるとともに、冷静になるようにアナウンスすることが大切である。
今回の福島第一原子力発電所の事故を見ていると、トップがメッセージを発するということがまったく後手にまわってしまっている。事故が発生しても東京電力トップの顔が全く見えない。これは致命的なミスである。
第3に専門家を集め、現状を打開する根本的な解決策を探る。現在は情報が錯綜していて、それがさらに混乱を大きくしている。情報を統制し、コントロールする必要があるのではないだろうか。
第4に、状況を逐次報告することである。これはリーダー自身が行ってもいいが、スポークスパーソンを立てて行っても構わない。危機のときには状況は刻一刻と変化しており、それをつぶさに把握し、できるだけ多く報告をしていくことが大切である。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授