多くのセールスパーソンが、クロージングの質問をあらかじめ頭の中で考えています。それはいわゆる魔法の質問であり、例えば「ダッジ・ヴァイパーはどのようにしてお渡ししましょう? 」などが挙げられます。しかし、本当は、この手の質問は購入をすでに決心した見込み客にのみ効果を発揮します。それに売り込み口上のように聞こえますし、見込み客を購入に近づけるのではなく遠ざけてしまう恐れがあります。そうではなく、取引が成功するようにアプローチして下さい。つまり、より大きな商談プロセスの一環として、賢い質問をすることが重要なのです。
セールスマンが商談に失敗する理由がここに挙げられています。それは「クロージングを急ぎ過ぎる」と言うことです。商談の成功は、そのプロセスを確実に踏むことにあります。
商談を、見込み客が製品やサービスにお金を使うことを決めるポイントと考えて下さい。そう考えることは素晴らしい事です。また、セールスパーソンと顧客との関係の最終目標は、長い期間、何度も何度も顧客にセールスパーソンをリソースとして頼ってもらうことです。「良く分かる商談モデル」では、商談プロセスは次のように進みます。
商談プロセス――ステップの踏み方を知る
1、オープニング:少ししか時間はかかりません
2、情報収集:最も時間がかかります
3、計画:少ししか時間はかかりません
4、クローシング:ほとんど時間はかかりません
ここが最終的に唯一重要な質問――「お分かり頂けたかと思いますが、いかがでしょう?」――をするポイントです。
人は商品の購入が自分にとって妥当だと思えた時、購入します。そして、その決断はセールスパーソンの計画とは全く関係ない場合があります。よって、見込み客に対し直接、自分の提案は妥当であるかどうか尋ねることが大切です。もし妥当であれば、クローズすることができます。もし妥当でなければ、どこに問題があるか探して下さい。
最初から購入を決めている顧客には「商談」は必要ないわけです。「商談」とは、購入を迷っている顧客がその商品を買うための1つのポイントを言うことです。顧客が何を考え何を欲しているのかそのために適切な提案ができているかどうかが、顧客に購入を決定させるカギになります。
顧客は次の3つのカテゴリーに分けられます。
1つ目はIPM(In The Marketplace:既存客)というグループで、積極的に製品やサービスを探している人を指します。2つ目はEMP(Entering The Marketplace:見込客)で、製品やサービスを探し始めた人です。最後は最も大きなグループであるCC(Cloistered Customers:潜在客)で、まだ対象市場には出ていない、あるいは他の市場で製品やサービスを探している人を指します。CCに属する人は、セールスパーソンが彼らの目的を明確にできた時、そして、提供する商品が彼らの目的の達成をどう手助けできるのか説明できた時に反応を示します。
新規の見込み客に売り込む時は、彼らが妥当だと見なす計画を立てて下さい。計画を立てるには、見込み客とさまざまな会話をする必要があります。彼らの力を借り、戦略を練り、適切な計画を明確にして下さい。まず、自分達のニーズや問題に関することは忘れて下さい。
次に、質問を始めて下さい。見込み客が何をしている人なのか、彼らの動機や意図は何なのか、聞き出して下さい。そのような質問をすることで、見込み客が達成したいと思っていることをより完全に、そして正確に把握することができますし、最終的に商談プロセスを押し進めることができるようになります。
商談を行うためには、まず顧客のことを知る必要があります。
ここでは顧客を3つのカテゴリーに分け、どういう性質の人であるかを解説しています。それに合わせたアプローチ方法を把握しましょう。この次からは具体的に顧客との商談のステップにおいて、どのような会話が必要かについて説明していますので、ひとつずつ見ていきましょう。
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明治学院大学 経済学部准教授