孔子の「三〇にして立つ」という言葉を意識して、何とか30代で何者かにはなりたいと思いながら、結局どういう分野に立てばいいのかさえ分からず、30代を終えてしまった人が実に多いのです。
坂本龍馬の言葉に「世に生を得るは事を成すにあり」というのがありますが、自分が何のために生まれてきたのか、自分の手でいったい何ができるのか、その答えを30代で見つけたい人は多いと思います。
30代が育成期だというのは、自分のどんな強みをどんな領域で育てていくか、どんな領域を自分の力を発揮する場所として選択するかであり、それを「自分のテーマ」として、納得のいく成果を収めることが、その後の40代の収穫を決めてしまうからです。
しかし、ではなぜ多くの先輩たちが30代で自分のテーマを見つけられなかったのでしょうか。
それは、「自分の中」にテーマを「見つけよう」としたからです。「見つける」という言葉に踊らされた諸先輩も多いはずです。
なんとかテーマを見つけようとして、もがき、七転八倒しながらも結局「テーマがまだない」という結果に終わってしまうのは、見つけるというより、「作り出す」「高める」という行為が必要だからです。答えは「自分の外」にあります。内側を掘り下げるより、外の世界で試行錯誤してリアルな体験を積み上げることによって、本当に突き詰めるテーマがあらわになってくるからです。
そこのところを間違えないようにしましょう。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授