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» 2012年06月27日 08時00分 公開

海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点:スターモデルを使って組織設計の5つの難題を解決する方法 (2/3)

[ITmedia]

顧客を中心に設計する

 「顧客中心主義」という考え方は、比較的新しいものです。しかし、いくつかの企業の組織方法にとても大きな影響を与えてきました。どの組織も顧客を大切にし、顧客サービスを重要視しています。しかし、「顧客重視」と「顧客中心」はイコールではありません。顧客中心のアプローチとは、顧客を社内に招くことです。

 これは多くの場合文字通りの意味で、顧客が製品やサービスの設計だけでなく、組織が従業員やオペレーションをまとめる方法にまで影響を与えることを可能にします。また、顧客中心の戦略の成功は、スターモデルのさまざまな要素を融合させられるかどうかにかかっています。

 顧客中心主義に移行するには、「カスタマーチーム」や「リレーションシップ・マネジャー」など専門的な役割を新たに加える必要があるかもしれません。さらには、顧客が自社と接触する方法を追跡および測定するテクノロジーを利用する必要があるかもしれません。そうして手に入れた情報が、確実に滞りなく企業リーダーの元へ届くようにしてください。

 顧客中心のビジネスの世界では、企業は顧客と接触を持ってももはや製品を売り込むことはしません。売り込む代わりに、顧客が問題を解決できるよう、顧客のニーズに最も適したソリューションを提供することで手助けを行っています。これはつまり、「取引による営業」ではなく「人間関係による営業」への移行を意味します。

 顧客中心のアプローチは、競合社を打ち負かすことのできる手法です。今、顧客は以前よりも多くのことを知っています。そして、ある企業と頻繁に取引をしている顧客は、その企業にはそのことを知ってもらいたいと思っていますし、それに対して見返りを与えて欲しいとすら思っています。また、自分だけの欲求を満たすための「カスタマイゼーション」や、買い物を楽しいものにするための「経験中心の購入機会」や、適切なソリューションを見つける手助けをしてくれる「信頼できるアドバイザー」を求めています。

 顧客中心のアプローチは、少しだけ取り入れることも、完全に取り入れることもできます。「軽い」アプローチには、例えば、調整の取れた対応を求める最大手の顧客のために、専門チームを立ち上げることが考えられます。「中くらい」のアプローチは、製品、サービス、ソリューションの相互作用を組織化する「営業マネジャー」や「カスタマー・リレーションシップ・マネジャー」を専門チームに置くことで、チームの厚みを増やすものです。

 もちろん「集中的」なアプローチを取り入れることもできます。集中的アプローチとは、組織の「前方」を完全に顧客にささげ、製品機能のサポートは組織の「後方」が行うものです。前方の部署は基本的に顧客に代わって後方の部署から製品を購入します。例えば、プロクター・アンド・ギャンブル社は、顧客であるイギリスのスーパーマーケットのテスコに対し、自社のヨーロッパユニットの営業マネジャーを専任させています。そして、美容・健康製品や家庭用品のチームに営業マネジャーをサポートさせています。

 やはり、この章に於いてもスターモデルをいかに理解しているかがカギとなっています。そして最も重要な点は、顧客中心と顧客重視の違いを知るということでしょう。更に言うならば組織設計という根幹にどのように顧客中心という在り方を結びつけることができるかを熟思することだと思います。また、「前方」と「後方」のアプローチに分け、企業が合理的に顧客を管理するということも大切なことだと思います。

国境を超えた組織

 新しい国に進出することを考慮すべき理由は沢山あります。国内市場は多くの場合混雑しているため、他の場所で成長を求めることが選択肢の1つに挙げられます。また、新しい地域でさまざまな顧客を口説くことで、今までにない製品やブランドを生み出し、斬新な研究開発や高度な経営管理と人事活動が行えるようになります。

 世界進出しようと考えているのなら、企業をどのように編成するのか考えなければなりません。まず、どうやって進出するつもりなのか考えることから始めましょう。ゆっくりと「有機的」に組織を構成していくことも、あるいは、買収したビジネスに取り組むこともできます。次に、企業の新しい海外事業部はシンプルにして下さい。「地域担当マネジャー」を配置し、担当する国や地域のビジネスを指揮させて下さい。

 その次に、2種類のプロセスを確立して下さい。1つは、海外事業部と本拠地をしっかりと結び付けるプロセスで、もう1つは、スピンオフがそれぞれ意思疎通を図り、本社に新しい情報を送れるようにするプロセスです。前者は、新しい地域への能力の移動を可能にし、後者は、新しい支部が成功できるよう柔軟性をもたらしてくれます。

 次は、世界進出を指揮するために配置する従業員について考えましょう。本国から投入される海外駐在マネジャーは、特定の企業知識を新しい事業部へ確実に移し、現地では手に入らない専門技術を持ちこまなければなりません。彼らにスキルを磨かせ、海外駐在チームにとって最も将来有望な人材を育てて下さい。

 ここでは、企業のグローバル化に欠かす事のできない点について言及しています。特徴は新境地での新規顧客が企業を更に飛躍させる種となるということです。これは、新規顧客の声が新商品のアイデアの源泉となり、それらが高度な人事管理の構築に至るというまでフィードバックされてくることにあります。何れにせよ、世界進出に必要なことは人事という基盤を揺ぎないものへと確立することが絶対条件だといえるでしょう。

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