ブランドとは約束のことである。ブランドの提供者と最終利用者(顧客)の間で期待値を設定する。ブランドとしてのコミットメントと、ブランドの提供者に期待されるケーパビリティの定義という2つの要素によってブランドは構成される。
ブランドとは、次の意味においてもろ刃の剣でもある。ブランドの提供者側が、利用者が期待するであろうケーパビリティを定義することは滅多に無い。これらの期待を決定するのは、ブランド提供者によるマーケティングやコミュニケーションではなく、利用者の体験のみだからだ。つまり、あなたのブランドは、あなたが話すことではなく、ブランドの利用者があなたに関して話すことであり、あなたが約束を果たせば良いことを言ってもらえるが、あなたが約束を破れば、膨大なコストが発生して多くの場合、衝撃的な結末を迎える。
ブランドはもはや、デザインされるものではない。ブランドは、長い時間をかけて形成され、導かれるものである。ブランドの利用者が優れた眼識を持つようになるにつれ、企業がマーケティングやコミュニケーションメッセージを使ってブランドの利用者が自社に関して話すことをコントロールしようとすることが無意味になってきた。
これは、ITブランディング(ブランド構築)に特有の動向ではなく、ビジネスにおける一般的なマーケティングにおいても同様である。要するに、組織が、視覚、聴覚に訴える複数のメッセージを駆使して自らのブランドを形成していくのではなく、一般大衆が自分の集合知や雑談によってその組織のブランドを構築していくのである。
では、ブランディングがなぜCIO が懸案すべき事柄なのか? Web Marketing Therapy 社の「マーケティングセラピスト」兼CEO であるLorrie Thomas Ross 氏は次のように述べている。「ブランドとは、パーセプション(ブランドに対する消費者の見方、受け止め方)であり、プロミス(約束)である。IT ブランドを自社の企業ブランドと切り離すことはできない。IT は、企業ブランドの核であり、自社がブランドとしての約束を果たせるようにする接着剤としての役割を持つからだ。」
まずは、図1の各項目において、自社を最も的確に表すものを選択し、スコアを合計して、自社の現在のIT ブランドを評価してほしい。
スコア判定は、次の3段階になる。4 〜 7: IT部門は供給面で問題を抱えている。需要管理を能動的に行っていない。8 〜 11: IT部門は供給面で問題を抱えている。能動的な需要管理が限定的である。12: ビジネス・ソリューションに全面的に関与している。フロントオフィスへの移行態勢が整っている。となっている。このスコアを参考に、次項目でのフレームワークを参考に、ITブランドを向上する施策を検討してもらいたい。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授