連載
» 2012年09月11日 08時00分 公開

U理論が導くイノベーションへの道:「出現する未来」を実現する7つのステップ ――「ダウンローディング」(前編) (2/3)

[中土井 僚(オーセンティックワークス),ITmedia]

過去の枠組みを再現する「ダウンローディング」

 突然ですが、先日、知人からあるメールをもらいました。下記に転記しますのでまずは最後まで読んでみてください。

※本人に掲載の承諾は得ていますが、名前は伏せてあります。

中土井さん

お久しぶりです。○○です。

中土井さんにどうしても聞いていただきたいお話がありメールをさせていただきました。

これからお伝えすることを他の人が聞いたら、わたしはどうかしてしまったと思われると思います。でも、どうしても言わずにはいられません。中土井さんであれば分かってもらえるかもしれないと思いメールをさせていただいています。

実はわたし、宇宙人とカラオケをしたんです。

冗談かと思われるかもしれませんが、本当なんです。先週末に地方に出張に行った時に、夜暇だったんで1人でカラオケに行ったんです。

少しだけお酒を飲みながらダラダラと好きな歌を歌っていたら、急に部屋の中が眼を開けてられないぐらいバーっと明るくなって。5秒ぐらいだったと思うのですが徐々に光が弱まってきたので目を開けたら部屋にテーブルの上に、宇宙人がいたんです。よくテレビで見る目が大きくて、銀色のやつです。

心臓が口から飛び出でるほどびっくりしてすぐに部屋から逃げようとしたんですが、金縛りのようになって動けない。一瞬はどっきりか何かかとも思ったんですが、どう見ても作り物なんてことはありえないんですよ。明らかに"生物"なんです。状況が分からず混乱していたら、向うから色々話かけて来ました。

最初は何を言っているか分からなかったのですが、よく聞いてみると日本語で何か「怖がらないで」みたいなことを言っているみたいなんですよ。

そこから色々なやりとりをしたんですが、どうやら普段はウルトラマンの故郷として有名なあのM78星雲にある星で生活をしているそうで、今は私達で言うとインターンのようなもので地球に来ているらしいんです。

で、実はわたしの他にも地球人の友達が欲しいらしく、誰か紹介してくれないかと頼まれているんですよ。

もしよかったら、中土井さん一度お会いしてみませんか。わたしもあれから何度か会っていますが、本当にいいヤツで絶対に安心ですし、私達の知らないことを沢山教えてくれるのですごく勉強になりますよ。あと、カラオケも結構うまいです(笑)。

中土井さんであれば会って絶対に後悔はしないと思います。いかがでしょうか。お返事お待ちしています。


 今、このメールを読んでみて、みなさんの頭の中では、どんな考えや思いが巡っているでしょうか?

 「なんだこのメールは?」「何がいいたくて、この人はこのメールを書いてるんだ?頭がおかしいんじゃないのか?」「あー、変な迷惑メールにひっかかったんだろうな」「中土井もこんな人と付き合って大変だなあ」「中土井は、何の意図があってこんなメールを紹介しているんだろう?」など、評論、憶測、当惑、はたまた見下しといったさまざまな考えや思いが頭の中を渦巻いているのではないでしょうか。

 皆さまの内側で起きていると思われるその状態が、今回ご紹介する「ダウンローディング」という状態そのものです。

 ここでお断わりしておきたいのですが、もちろんこのメールはわたしがでっち上げた全くの架空のものです。ダウンローディングという状態を体験していただくために、敢えて極端な例を持ち出したことをお許しください。

このダウンローディングとは、「過去の経験によって培われた枠組みを再現している状態」を指します。とはいえ、まだ分かりにくいかと思いますので、一つひとつ紐解いていきましょう。

 「過去の経験によって培われた枠組み」という言葉をそのまま分解してみると、「現在」でも、「未来」でもなく、「過去」のある時点での経験によって形成されたものであること、「枠組み」すなわち、「枠」のあるものであることが分かります。

 われわれは、文字通り、他の誰かから「枠にはめられること」を嫌がったり、「レッテル」を貼られたりすることを忌み嫌う傾向があるかと思います。それは、おそらく、相手が見ている「枠」以外のことが、実際にはこちら側に存在するにも関わらず、その人が自分の「枠」の中で解釈している以外の情報を受け入れないばかりか、その人の「枠」の中で見えていることが「間違いなく、真実だ」と思い込んでいることがこちらの側から透けて見えるからではないかと思います。

 思い込みが激しく、こちらが何を話しても、その人の「枠」の中であてはめられ、その人自身の意見を曲げる余地もなく、久々に会ったとしても、何度話したとしても、何を言い出すのか想定がつき、分かりあえる感じや、通じ合える感じがしない。そんな人と、みなさんはわざわざ連絡をとって何度も話したいと思うでしょうか?また、その人から斬新で、インスピレーショナルなアイデアが生まれると思えるでしょうか?

 多分、一般的に、そんな人は「頭の固い人」、「頑固な人」と見えていて、柔軟性、好奇心、包容力といった言葉とは縁遠い人のように思えるのではないかと思います。それが過去の経験によって培われた枠組みの中でのみ生き、ダウンローディングに陥り続けた人の姿といっても過言ではありません。

 次に、「再現している」という言葉から紐解いてみたいと思います。これは、「再生」ではなく、「再現」と表現している点が重要です。

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