ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
「学習という快感」を刺激せよ! ――伝わるコミュニケーションの方法論(1/2 ページ)
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部下や後輩に何かを教える時、イラッとくることってありませんか?
どれだけ丁寧に教えても手応えがない、返ってくるのはトンチンカンな質問だし、そもそもやる気があるのかコイツは…、なんて思った経験は誰しもあるでしょう。でも、そんなときに聞き手の「脳内マップ」を意識すると、意外なほどスムーズにコトが運ぶかもしれません…という「伝わるコミュニケーション」のコツを本稿では具体例とともに解説します。
頭の中にはマップがあった!
「脳内マップ」とは頭の中にある知識のネットワークを指し、人に何かを教えるというのは聞き手の「脳内マップ」を描きかえる行為であると言えます。その時にカギになるのが、聞き手の頭の中にある「知っていること」(既知)と、これから伝えようとする「知らないこと」(未知)を結び付けることです。
例えば、入社1年目の新人に決算書の読み方を教えていると想像しましょう。
「決算書というのは、企業がステークホルダー向けに財務状況を開示したもので……」
なんて説明をしても、伝わるはずはありません。「決算書」というそもそも未知なものを「ステークホルダー」「財務状況」「開示」などの未知の言葉で説明されても聞いている方はチンプンカンプン。とてもではないですが、「分かった」と思ってもらえません。
こんな時に登場するのが脳内マップで、具体的には聞き手の「既知」を利用するのです。
「大学で成績表ってあったでしょ? 学期ごとにABCDって付くのが。決算書って、いわば企業の成績表みたいなもので、1年に1回つくるんだ。大学の成績表の場合、学費を出してくれてる親に見せると思うけど、会社の決算書もお金を出してくれている銀行や株主に見せるわけ」
このように「分かった!」と思わせたうえで、「銀行や株主などの会社を取り巻く人達をステークホルダーと呼び……」、などを説明すれば、全体像の中に細かい用語を位置づけることができ、たとえ聞き慣れない言葉でも十分に理解が進みます。これが、「脳内マップ」を意識した、「伝わるコミュニケーション」です。
コンサルタントだから犯した大失態
と、エラそうに書きましたが、実はわたし自身もこれを最初から知っていたわけではありません。今でこそ人材育成の講師として高く評価されているものの、デビューの頃はもう典型的なダメ講師。もともとがコンサルタントでプレゼンは慣れていたのですが、これが実は大きなワナ。「要するに、ポイントを押さえて話せばいいんだろ」と引き受けたものの、ロジカルに、しかも一方通行で話すプレゼンテーションのスタイルは、実は講師という立場にはまったくそぐわないのです。聞いている人からは大ブーイングを浴びて、今思い出しても冷や汗が出ます。
ただ、わたしがラッキーだったのは、その当時、株式会社グロービスでたずさわっていた「経営大学院の立ち上げ」というミッションを通じて、数多くの優秀な講師を見る機会があったことです。ちなみに、同時に数多くのダメな講師も見たのですが、こちらを書くとカドが立つのでこの稿からは割愛しています。そこで気付いたのは、優秀な講師には共通する行動があるということ。もちろん「その先生ならでは」という属人的な部分もありますが、それ以上に共通する行動が驚くほどあったのです。
ということは……当時のわたしは考えました。優秀な講師が共通してやっている行動をマネすれば、自分も優秀な講師(っぽく)なれるのではないか、と。まずは「型」から入るようなものですが、行動が変われば、その背後にある「人に何かを伝える時のコツ」も分かってきます。それを自分なりに体系化したのが冒頭に紹介した「脳内マップ」という方法論なのです。
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