なぜ、事業構想のイノベーションを目指すべきなのか。まず大きな理由は、これによって、経営に対して大きなインパクトを生み出せるからだ。
事業構想のイノベーションによって、成長が停滞している既存業界であっても事業を成長させることができる。例えば、フィットネスクラブを経営する東祥は、地方特化型のローコストのスポーツクラブという新しいコンセプトによって市場全体としては成長が停滞しているフィットネス市場において業績を拡大している。女性専用のフィットネスクラブという事業コンセプトで参入したカーブスもこれまでとは次元の異なる新しい価値をもたらし市場シェアを継続的に伸ばしている。
これらの企業は全体としては低迷している市場において、新たなビジネスコンセプトを持ち込むことで、新しい成長機会を開拓し事業を伸ばすことに成功している。
事業構想のイノベーションによって、きわめて厳しい状況を逆転させることも可能である。例えば、星野リゾートは、巨額の負債を抱えて倒産した山梨県小淵沢のリゾートホテルの立て直しを手がけた際にビジネスコンセプトの見直しを行うことで経営再建を実現した。
事業再生にあたっては、倒産したホテルなので、施設や部屋などの手直しに多くの費用はかけられない。そこで、施設などのハードを新しくするのではなく、ターゲット顧客の再定義と新たなコンセプトの導入といった戦略面のイノベーションを行い、多くの顧客でにぎわう人気ホテルへと変身させた。その結果、100億を超える負債をわずか数年で黒字化させることに成功している。
これらの成果はいずれも、個々の新商品や新サービスの開発を積み重ねるだけでは難しい。これまでとは次元の異なる新しい価値の提供により、事業構想レベルでのイノベーションに取り組んだ結果である。
ビジネスモデルのライフサイクルが短くなっており先手を打った対策が必要という点も、事業構想のイノベーションに真剣に取り組むべき大きな理由である。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授