現在われわれが直面しているのは「正解が何だか分からない」状態。やってみなければ、試行錯誤してみなければ「何が正解で、何が不正解か」すら、分からない今をどう生きるか。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」のバックナンバーへ。
社会に出て、もうじき30年、年齢もかつて想像すらしなかった50代に突入すると「人生ってこういうものだったのか」という全貌がぼんやりと浮かびあがって来るものです。
周りを見回しても、かつて秀才の誉高く一流といわれる高校、大学を出て大手企業に就職した人が意外に出世もせずにいるとか、それどころがリストラに怯えながらブルーの50代を過ごしていたりします。
その一方で、高校受験、大学受験でも勝ち組にはなれず、就活でも一次志望に入れなかった挫折組の人たちが、実社会で頭角を現し企業のトップや役員に上りつめるとか、起業して成功している例が身近なところでも散見されるようになりました。
これはたまたまですが、新卒で入社したリクルートで新規事業部の営業に配属されたことから、毎日、中小企業の経営者や大手企業の管理職の方に会うのがわたしの仕事となりました。
その雑談の中で、さまざまな人の生き様、喜怒哀楽のストーリーに触れてきたわけですが、わたしはその中で、ビジネスパーソンとして後悔しない生き方、もっとも自己効力感が得られる生き方、そして自分が描いた成功を手に入れる生き方を教えてもらった気がします。
そんな諸先輩からの教えをまとめた「40代を後悔しない50のリスト」「30代を後悔しない50のリスト」「結婚を後悔しない50のリスト」は累計25万部を超えるベストセラーとなりましたが、どうにも10代、20代で挫折や失敗を経験し、そのリベンジを果すべくチャレンジしていった人たちがその後の人生で上昇気流をつかんでいるのはまぎれもない事実です。
20代もしくは30代前半までは後悔することを怖れず、次にチャレンジする人生を選択した人間の方がその後の人生を豊かに過ごしているという現実に人生の妙を感じるばかりです。
では、なぜチャレンジしない人々が40代以降に萎んでしまうのでしょうか。その中の多くは努力する才能に恵まれた人に違いありません。
受験戦争を勝ち抜き、就職戦線も勝ち抜いたのにもかかわらず、これからいよいよ会社を背負って立つ40代になった矢先に活躍できないどころか、リストラ候補では目も当てられません。
しかも同期のすべてがリストラ候補となっているならまだしも、入社時には自分より「格下」だと思っていた人間が同期トップで執行役員に昇進していたり、自分が面倒をみたと自負している後輩たちが部長に昇進したりしている事態がより一層気持ちを萎えさせてしまうのです。
このような一部の人にとっての逆転現象の要因は、日本が成長期から成熟期に移ったことです。成長期の「正解」は成熟期の「正解」ではなくなりましたから、われわれもそのことに気づいて、それに対応した生き方をすべきではないでしょうか。
現代国語のテストのように「正解がない」というのもさることながら、現在われわれが直面しているのは「正解が何だか分からない」状態です。だからこそ、やってみなければ、試行錯誤してみなければ「何が正解で、何が不正解か」すら、分かりません。
しかし、みな失敗が怖いから、前例がないから消極的になってすでに効果の上がらなくなった従来通りの方法を続けるので、成果が出せずに大衆人材に成り下がってしまうに違いありません。
もはやこの時代、人によって「正解」が逆転してしまうこともありますし、「正解」のはずだったものがコミュニケーション不足やミスリードによって無力化してしまうことでさえ日常茶飯事です。そんな「正解」曖昧模糊時代には、正解が分からない時にどうすればいいかという方法を知っているか否かがカギになります。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授