現代という難しい時代に、ビジネスパーソンが能力を発揮するために欠かせないのが「セルフマネジメント力」だ。そこで求められるのは意志の力ではなく行動。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」のバックナンバーへ。
人もうらやむような大企業に就職しながら、「出世なんてしたくない」という若者が増えています。一方で、「平社員に戻りたい」という管理職も続出しています。もしかしたらあなたも、「その気持ち、ちょっと分かる」という一人かもしれません。
かつて日本が大きな経済成長を遂げていたとき、こんな事態が起こることを、いったい誰が予測していたでしょう。仕事とは、そんなに複雑なものだったでしょうか?
あなたの両親世代までは、人生における分かりやすい基準がありました。欲しいものを手に入れ、食べたいものを食べ、行きたいところへ行ける豊かさを、多くの人が共通して求めていました。すなわち、少しでも給料のいい会社に勤め、少しでも高い地位に就けば、それに比例して幸福度もアップすると考えることができました。
そんな親の姿を見て育ったあなたは、おそらく自分も同じように生きていけばいいのだと、幼い頃は思っていたはずです。ところが、蓋を開ければまったく違っていました。グローバル化という名のもとに、日本人は「自己責任」の世界に投げ出されました。そこには多様な価値観があり、真偽の分からない膨大な情報が溢れています。終身雇用など、あっと言う間に遠い過去の話になりました。激烈な国際競争の中で、大企業とて明日はどうなるか分かりません。
そんな現代社会にあって、リーダーたちはかつてないストレスにさらされています。自分の将来も約束されたものではないのに、部署の業績を上げ、価値観の異なる部下を育成することが求められているのです。思わず、「平社員に戻りたい」とつぶやきたくもなるでしょう。
そして、そんな疲れ切った上司を間近に見ている若者は、「出世なんかしたくない」と感じるというわけです。もちろん私は、そんな状況をよしとしているわけではありません。本来、日本のビジネスパーソンはとても優秀で、もっと輝かしい日々を送ってくれて当然だと思っています。
現代という難しい時代に、ビジネスパーソンがその能力を余すところなく発揮していくために、欠かせないのが「セルフマネジメント力」です。セルフマネジメント力が低い人は、どれほどビジネスそのものに長けていても生き残ることはできません。
ところが、セルフマネジメントがしっかりできている人は多くありません。ちょっとした失敗でネガティブになりすぎたり、部下や周囲の人たちに対して感情を爆発させたりして、仕事にマイナスの影響を与えている人がほとんどだと言っていいでしょう。それどころか、ウツ状態になって仕事を継続することができなくなるケースもあります。
みんな、なにかしら「セルフマネジメントできない自分」に悩んでいるのです。
あなたも例外ではなく、もっとしっかりセルフメネジメントをして「自分を変えたい」と思うことがあるはずです。ネガティブな自分や、飽きっぽい自分、怒りっぽい自分などを変えて、よりよい人生を送りたいと考えていることでしょう。ところが、それがなかなかできないのではないですか?
なぜあなたは、自分を思うようにマネジメントできないのでしょう。理想の自分に変身して、輝かしい日々を送ることができないのでしょう。
それは、「意志の力」でやり遂げようとしているからです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授