「決算書くらい読めるよ」と言うリーダーはたくさんいるが、決算書が読めるだけでは単なる自己満足に過ぎない。決算書は読めるだけではなく、使いこなせるこそ初めて会社の利益に貢献する。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」のバックナンバーへ。
はじめに告白しておきますが、私は少し変わった公認会計士・税理士です。
公認会計士は主に、会社の「決算書」が正しく作成されているかどうかをチェックする「監査」と呼ばれる仕事を行っており、税理士は、会社が納めるべき税金を正しく計算することを主な仕事としています。
さて、私は両方の資格を持ちどちらの仕事もしてきましたが、公認会計士(会計士補含む)は3万人以上、税理士は7万人以上もおり、率直に言って私よりも最先端の会計基準に詳しい、あるいは税法に詳しい人は数え切れないほどいます。しかし、私にはこれら10万人を超える会計人の中でも"オンリーワン"ではないかと自負している特技があります。
それは何ページにもおよぶ決算書から、必要とする情報だけを抜き出してA4用紙1枚にまとめ、そのA41枚だけで、決算書を使う目的に合わせて、適切、かつすばやく分析し相手に解説していくことです。
「決算書くらい読めるよ」と言うリーダーはたくさんいます。しかし、決算書が読めるだけでは単なる自己満足に過ぎず、残念ながら会社の利益には何ら貢献しません。決算書を読んで必要な情報を抜き取り、それを仕事に生かすことができて、初めて会社の利益に貢献します。つまり、決算書は読めるだけではなく、使いこなせることがリーダーには求められるのです。
それでは、決算書を前にした際にただ読めるだけのリーダーと、使いこなせるリーダーとでは、どのような違いが現れるのでしょうか?
私は下記の3つのポイントで判断できると考えています。
(1)どの決算書を真っ先に読むのか?
(2)選んだ決算書のどこを見ているのか?
(3)どんなコメントあるいは質問をするのか?
決算書がただ読めるだけのリーダーと、使いこなせるリーダーとの違いは、一言で言うと「決算書を使う目的が明確かどうか?」に尽きます。決算書は使う目的によって、どこを重点的に読むべきかがまったく異なります。このことが分かっているリーダーは、決算書を使う目的ごとに読む順番を変え、チェックするポイントも変えて必要な情報だけを瞬時に抜き取り、すぐに仕事に生かそうとするのです。
私は、決算書はビジネス書と同じように使うべきだと思っています。
ビジネス書は、冒頭から順番に一字一句読もうとして途中で挫折したり、あるいは、仮に全部読んだとしても、「面白かった」「つまらなかった」など、まるで小学生の読書感想文のようなことしか言えないのでは、全く意味がありません。
仕事がデキるリーダーは、「このビジネス書から何の情報を得たいのか」を明確にし、その欲しい情報だけを抜き取って、ビジネスで実践するということを最も重要と考えています。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授