鷹は寿命を伸ばすために自らを傷つけて再生するという。人間の50代もひとつの転換期。50代できちんとするべきことをしておけば、60代、70代の幸福度は上がっていく。50代でしなければならないこととは?
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鷹の寿命には2段階あります。
最初の寿命は35歳です。
最初の寿命の時に半分の鷹は死んでしまいます。35歳を乗り越えた鷹は70歳まで生きます。35歳の時にくちばしと爪が弱くなります。自然界において動物が獲物をとらなければならない時に、くちばしと爪が衰えることは致命的です。
もうひとつ、羽も限界が来ます。
飛べなくなるということです。
鳥が飛べなくなると生きていけません。生き残る鷹は35歳の時に、今まで自分が棲んでいたよりもはるかに高い山に登ります。そこには木々がないくらいです。木が生えているところでないと捕食する動物がいません。
そこに行ってまずやることは、石にぶつけながら自分の爪を全部折ります。
その次に、くちばしで羽を全部抜きます。今度は石にくちばしをぶつけて折ります。この映像を実際に見ると、修行僧のようです。
いったん自分の古い爪、羽、くちばしを自分で取り除くことによって、新しい爪、羽、くちばしが生えてきます。
この間、餌はとれません。痩せ細りますが、一種の生まれ変わりの状態になります。たとえ餌がとれないところでも、高い山に登っておかないと自分が敵に狙われます。
鷹といっても、動物界の捕食関係の最高峰にいるわけではありません。天敵もいます。天敵に見つからないように高い山に登って、自分の武器である爪、くちばし、羽をみずからいったん全部捨てることによって再生の時期を待ちます。
新しい爪、羽、くちばしが生えてきた鷹は、再び下界におりて70歳まで生きるのです。
誰かに教わったことではありません。
鷹は35歳になると、自然に自分の爪やくちばしや羽が寿命に来たことを感じるのです。今まで自信を持っていた爪や羽やくちばしのまま生きていこうとした鷹は、そのまま下界で死に絶えてしまいます。
1回目の寿命と2回目の寿命というのが、鷹にも人間にもあるのです。
日本人の幸福度の調査で、幸福感が最も下がるのは50代です。
これは、その後定年を迎える、子どもが独立する、離婚が増えるというのが原因になっていることが多いです。問題は、このあとで差が広がることです。
60代、70代で、
(1)幸福度が上がっていく人
(2)幸福度が下がっていく人
の2通りに分かれます。
50代は、幸福感が一番下なのではありません。
50代はその人の長い人生において、幸福感がそこからV字回復するか、そのまま下り坂に落ちるかの分岐点にあります。50代の生き方で、そのあとの人生が決まるのです。
すべての人にとって50代が最もつらい時期ということではありません。50代は、ひとつの転換期です。そう考えると、50代の生き方は大切です。
50代はなんとなく消化試合という意識になると、60代、70代はもっとつらいことになってしまいます。50代できちんとするべきことをしておけば、60代、70代の幸福度は上がっていくのです。
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明治学院大学 経済学部准教授