多くの優秀な企業人たちと接してきた中に一定の割合で、紛いもなくエースだと唸るような人たちがいた。彼らはどのような思考、行動を取っているのか。
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長年にわたり多くの企業で、コンピテンシー(能力・適性)作りのためのインタビューや次世代リーダー研修、キャリア開発研修を行なってきた。また、大学のゲスト講師として招いたりするなど数万人の優秀な企業人たちと接してきた。その中には一定の割合で、紛いもなくエースだ、と唸るような人たちがいた。
その割合は、50人に1人、100人に2人ほどだ。
例えば企業で50人の社員研修を行なうとその中に1人はエースがいる、というのが私の実感値だ。もちろん、統計的に提示できるわけではないが、標準偏差で言えば、+2シグマ以上の人は、2.275%であり、やはり自身の実感値と合っている。
一方で、気になっていることがある。社内でエース(超一流の人材、次世代経営者候補)と呼ばれている人材がどのようなものであるか、どうも誤解があるように思えることだ。
一般的なエース像とは、上司から与えられた課題を器用に効率的にどんどんこなし、同期よりも入社早々から業績が高く、その上司から高い評価を得ている。主流部門を順調に出世していく、ノウハウを蓄え、相手やコミュニティによって対応を巧みに使い分けるテクニックを持ち、プレゼンが上手で、社内の政治にもうまく対応し、オン・オフを切り替えるのが速く、プライベートに仕事を持ち込まない。いわゆる従来のエリート社員像だ。
しかし、それは今の時代には将来会社を担って立つエースの像とはかけ離れている。
そして、もうひとつ気になること。エースは一流企業に入った、一流大学卒業者とは限らないのだが、そう認識されてしまっていることだ。一流企業だけでなく、中小企業やベンチャーにも同じ割合でエースがいる。
彼らは一流大学を出ているわけではない。特別な資格を持っているわけでもない。しかし、間違いなくエースなのだ。これは、私が長年いわゆる一流企業だけではなく、中小企業、ベンチャーのコンサルティング、や社外取締役、社外監査役などを通じて経営支援をしてきて気付いたことだ。ある集団が形成されるとその中で2%程度のエースが出現する。一流大学を出て一流企業に入社したはずなのに、その中でエースとなるのはやはり2%程度である。
新入社員としては一斉にスタートした同期だが、毎年どんどんその差がついていく。あなたは、その先頭を走るのか、それとも「その他大勢」の中に埋もれてしまうのか?お互いに傷を舐め合ってこれからの長い会社生活を過ごして行くのか?
また、この同期は、大学時代、高校時代、それはクラスや部活など、あなたが持っているさまざまな「同期」を意味している。
それらの同期はあなたの友達、盟友であると同時に、あなたのライバルでもあるはずだ。彼らの動向は離れていても気になるだろう。皆それぞれの世界で頑張っていると思うが、社会に出て年数が経つほど、同期会には世の中で活躍していない人間はだんだんと足が遠のく。そして、同期会に出てくる中でも、その他大勢と異なりピカピカに光っている人がいる。それは、やはり50人に1人くらいだということだ。そしてそれは、学生時代の成績とか、卒業した大学とかは必ずしも関係がないことにあなたも気付いているだろう。
したがって、トップ2%とは決して受験の偏差値70以上のことではない。それよりも、もっと重要な別の「基準」があるのだ。
では、具体的に2%ほどのエースとはどのような思考、行動を取っているのか。その基準の一部を紹介したい。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授