必要なときには上手に怒り、理不尽に怒らない――怒りはコントロールできるITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(1/2 ページ)

「あのとき怒っておけばよかった」「あのとき怒らなければよかった」。いずれにせよ後悔するのが怒りである。しかし怒ること自体は悪いことではない。後悔しないためのアンガーマネジメント。

» 2016年01月27日 08時00分 公開
[山下竜大ITmedia]

 「ITmediaエグゼクティブ勉強会」に、日本アンガーマネジメント協会 代表理事である安藤俊介氏が登場。「イライラ、怒りの感情をコントロールするアンガーマネジメントとは?」をテーマにした講演で、怒りとは何か、私たちを怒らせるものの正体はなにか、どうすれば怒りをコントロールできるのかを紹介した。

怒ることは悪いことなのか?

日本アンガーマネジメント協会 代表理事 安藤俊介氏

 人間には「喜怒哀楽」という感情があるが、いったいどれだけの数があるのだろうか。喜怒哀楽とは、中国の文献である「中庸」に出てくる言葉だが、人間の感情にはいろいろな役割がある。

 1つに「何かを伝えやすくする」という役割がある。例えば、「部屋を片付けてほしい」ということを誰かに伝えたい場合、怒りながら「部屋を片付けなさい」と伝えるのは簡単である。それでは、喜びながら、悲しみながら、楽しみながら伝えてみてほしい。

 怒り以外の感情で、「部屋を片付けてほしい」と頼むのは、なかなか難しい。喜びで伝えるには「部屋を片付けてくれると嬉しい」となり、悲しみで伝えるには「なんで部屋を片付けてくれないの」となる。楽しいは、「一緒に部屋を片付けよう」となる。答えを聞けば簡単だが、怒り以外の感情を難しく感じるのは使い慣れていないからである。

 「怒ることは悪いことだと思っている人は多い。怒っても後悔するし、怒らなくても後悔するためだ。しかし怒ること自体は悪いことではない。怒る必要があるときには上手に怒り、怒る必要がないときには怒らないようになることが重要である。怒りを後悔しないように訓練するのがアンガーマネジメントである」(安藤氏)

 それでは、なぜ多くの人は怒りの感情をコントロールするのが難しいと思っているのか。その理由は怒りをコントロールする教育を受けたことがないからである。アンガーマネジメントは、教育として怒りを理解し、学ぶ場であり、米国では"心理教育"と呼ばれることもある。

 「怒ったり、イライラしたりすることは知っている。しかし、怒りを理解はしていない。知っていることと、理解していることは大きな違いである。例えば、"薔薇"という漢字が読める人は多いが、漢字で書ける人は少ない。それは知ってはいるが理解していないため書けないのだ。怒りを理解し、感情をコントロールできるように技術を磨くことが必要だ」(安藤氏)。

怒りの感情とは何か?

 怒りの感情とは何なのか。単なる「感情表現」である。人間に備わっている感情なので、怒りという感情がない人はいない。また怒りは「伝達手段」でもある。さらに怒りは、自分の身を守るための防衛感情であり、「機能・役割」である。

 「怒りの感情がなくなると恐怖心もなくなる。そのため、例えば、犬が吠えていても、怖くなくなり、噛みつかれてしまう。自分にとって危ないことを察する能力がなくなってしまうのである。自分の身を守るためにも、怒りという感情は不可欠なのだ」(安藤氏)

 怒ること自体には問題はないのだが、気をつけてほしい怒りが4つある。「強度が高い怒り」「持続性のある怒り」「頻度が高い怒り」「攻撃性のある怒り」である。例えば、怒りの持続性はどれくらいなのか。安藤氏は、「"末代先まで恨んでやる"という言葉があるくらい、持続性のある怒りは厄介なものだ」と話す。

 また、怒りは第2次感情であるという概念が非常に重要になる。例えば心の中にコップがあるとする。このコップに第1次感情である、不安、痛み、辛さ、苦しさ、むなしさ、悲しさなどのマイナスの感情を注いでいく。心のコップが第1次感情でいっぱいになり、何かのきっかけであふれ出すのが第2次感情である怒りだ。

 「本当に怒らなければならないのは、次回からはどうしてほしいかを伝えるときである。ところが多くの人は、第1次感情をぶつける怒り方をしてしまう。第1次感情を伝えるのがメインではなく、次からどうしてほしいかを伝えるのが怒りの本質である」(安藤氏)

 第1次感情をぶつけないためには、どうすればよいのか。「怒りのボキャブラリーを増やすことだ」。「あたまにくる」「腹が立つ」「イライラする」など、怒りに対するボキャブラリーをどれだけ挙げることができるだろうか。怒りの感情は幅が広く、それに貼るラベルが怒りのボキャブラリーである。

 もし怒りのボキャブラリーを3個しか思いつかなければ、3段階でしか怒りを分類できない。怒りのボキャブラリーが10個になれば10段階に怒りを分類することができる。怒りのボキャブラリーを増やせば増やすほど、自分の状態を正確に伝えることが可能になる。

 「現在、学校関連のトレーニングもしているが、いまの子どもたちがキレやすいというのは事実である。いまの子どもたちは、ボキャブラリーが極端に少ない。極端な話、"ヤバい"と"キレる"しかボキャブラリーがない。何を見てもヤバい、何を食べてもヤバいで、"おいしい"のか"おいしくない"のかも分からなくなっている」(安藤氏)。

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