「うちは大丈夫だろう」から「いつ起きてもおかしくない」に管理者は考えを改める必要がある。
はじめまして。就労移行支援事業所「シゴトライ」施設長の南雲です。「シゴトライ」では、うつ症状があり精神障害者手帳を取得した人に対し、就職のためのスキルアップ研修や就職活動サポートを行っているのですが、事業所を利用している人の多くは、発症前はごく普通に社会人として活躍していました。
うつの発症やメンタルダウンによる休職、退職する労働者は増加しており、「職場に不安、悩み、ストレスを感じる事柄がある労働者」の割合は52.3%にも上ります(平成25年厚生労働省「労働安全衛生調査」実態調査)。これに含まれない「予備軍」も合わせると、その数は無視できません。
ある試算によると、社員が1人、1年間休職した場合の企業損失は1500万円を超えるとも言われています。メンタルダウン者が出ることは企業にとって痛手であり、言い換えれば、会社としての損失を出さないためにも、管理職にとってメンタルマネジメントはこれから欠かせないものになってきます。
そこで今回から3回にわたり、私たちがシゴトライの事業を行ってきた中で得た知見を踏まえ、管理者が今後学ぶべきメンタルヘルスマネジメントについて紹介します。
「うつやメンタルダウンは一部の業界や職種、ブラック企業の話だろう」と思ってはいませんか? 実はそんなことはなく、ある時期まで元気だった社員がダウンし「まさかうちの部署が、うちの部下が……」ということが実際に起きています。「うちは大丈夫だろう」と考えている管理職は、「いつ起きてもおかしくない」と考えを改める必要があるでしょう。
うつやメンタルダウンは極度のストレス状態が続き発症することが多いですが、ストレスそのものがダメと言うわけではありません。そもそもストレスをゼロにすることは不可能ですし、人間には溜まったストレスを通常の状態に戻す力が備わっています。
つまり、私たちは常にある程度のストレスを感じつつも、それとうまく付き合っているのです。そして、ストレスの発散方法は人それぞれです。体を動かしたり趣味に没頭したりする人もいれば、家庭やお酒の席で日ごろの不満を話したりすることでスッキリする人もいるでしょう。意識の差はあっても、それぞれの発散方法でリフレッシュし、ストレスとのバランスをうまくとっているのです。
これとは逆に、仕事に追われリフレッシュできる余裕がなく、ストレスを溜めこみすぎた場合はメンタルダウンが起きやすい状態と言えるでしょう。
先に、社員が1人が1年間休職した場合の企業損失は1500万円超と述べましたが、部下の兆候に気が付いていれば、その損失は避けられます。また、その部下の損失だけでなく、部署内でメンタルダウン者が出たという事実は同僚に不安を与えることになり、モチベーションにも少なからず影響するでしょう。ですから、これからのマネジメント層は、部署の業績や部下の育成と同じように、「部下のメンタルヘルスを意識する」必要があるのです。
部下のメンタルヘルスを意識することとは、「その兆候にいち早く気づき、対処すること」に他なりません。メンタルダウンには必ずなんらかのサインや兆候がありますので、それにいかに早い段階で気付けるかがポイントです。そして部下の細かい異変に少しでも早く気付くためにも、日々、部下の表情や様子を見ることがとても大切です。
<細かい異変に気付くために日ごろから気を付けたいこと>
といった変化を感じたらまずは声をかけ、話を聴くことが大切です。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授