スッキリ、ラクに確実に伝えるにはどうすればいいか。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
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こんにちは、人事戦略コンサルタントの松本利明です。私は、マーサー、アクセンチュアなど世界的な外資系大手のコンサルティング会社で25年以上、人事のコンサルティングをしてきました。一貫して行ってきたのは「人の目利き」で、5万人のリストラと6000人以上のリーダーとその予備軍の選抜と育成を行っていく中で驚いたことがあります。
それは経営者、リーダー、現場の方々の皆さん全てが、話の伝え方で同じように悩んでいるのです。話し方や伝え方の課題が現場のマネジメント上の課題の9割といっても間違いありません。 しかも、皆さん努力し、研修や勉強をしているのに「しっくりこない」と言うのです。
なぜ、学んだノウハウが使いこなせないのか? それはあなたの能力の問題ではありません。次のどちらかに要因があります。
結論を言います。話が伝わらない根本的な原因は、頭の中がスッキリ整理されていない状態で考えながら話すからなのです。いろんな問題が複雑にからみ合った状態のまま伝えようとするから、余計複雑になるのです。
計算が合わない原因は計算ミスではなく計算式が間違っているのです。スッキリ、ラクに確実に伝えるにはどうすればいいか。
(1)複雑な問題を整理
(2)相手に伝える順番を判断
(3)お互いの認識のズレを修正
(4)この(1)〜(3)を仕事の場面に応じて使い分ける
この4点をクリアすればいいのです。
ここで朗報です。あなたは「ソラ・アメ・カサ」を聞いたことがありますか?
これはマッキンゼーの日本支社が開発したフレームワークという問題解決の一つの「型」で、問題解決というよりも、日々の仕事やコミュニケーションの改善に使える万能ツールなのです。外資系コンサルタントでは誰も知っており、使いこなしていますが小学生でもすぐ活用できるくらい簡単かつ便利なものなのです。
早速紹介しましょう。ソラ・アメ・カサは、
というシンプルな構造です。
事実を整理する時(ソラ)、「どうなりそうか?」(アメ)、「ゆえに、どんな判断を下し、打ち手や行動を提案するか」(カサ)の頭文字を取ったものが「ソラ・アメ・カサ」です。この3つをセットにして考えると、複雑にからみ合った事象のつながりがシンプルに整理されます。論理的にムリも飛躍もない判断ができるのです。
本当にそうなるか検証してみましょう。
ソラ「空を見ると曇ってきた(事実)」
のように、ソラ・アメ・カサの要素1つだけでは伝わりません。
では、2つの要素ではどうなるか。
ソラ「空を見ると曇ってきた(事実)」
アメ「雨が降りそうだ(解釈)」
だと、「そうですね。だから何でしょうか?」と相手は考えるでしょう。
ソラ「空を見ると曇ってきた(事実)」
カサ「傘を持っていこう(判断)」
だと、「大げさだな」「心配性だな」「確かに」と相手の意見はブレるでしょう。
アメ「雨が降りそうだ(解釈)」
カサ「傘を持っていこう(判断)」
だと、「そうかな?」「私はそう思わない」と意見が割れるでしょう。
いかがでしょう。ソラ・アメ・カサの2つの要素だけでは正しく伝わらないのは明白ですよね。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授