テクノロジーが大きく進化しAIやロボットに注目が集まる中、ヒトがどのような役割を果たすのだろうか。
本稿では、テクノロジーが大きく進化しAIやロボットに注目が集まる中、ヒトがどのような役割を果たすのかを考察しています。
近年、テクノロジーの進化は著しく、さまざまな場面でキカイが活躍している。ドローンがこれまでにない空撮映像を届けるのは日常的になり、AIは大量のデータから解を導き出し、例えばアルファ碁のようなものが現れ、自動運転バスの実証実験も始まりつつある。このようにキカイを使うことにより、効率が圧倒的に高まり、生み出す価値が高まることが期待されている。
キカイにできることが広がると、ヒトが果たす役割は低下するのだろうか。そうではないだろう。むしろ、ヒトだからこその強みを活かした、もっと重要な役割を担うべきだ。そのために、ヒトとキカイのそれぞれの強みを活かせる最適な分担を考えることが必要となる。そして、大前提として、そもそも何を実現したいのかきちんと定義することが必要である。役割分担は5ステップで考えることができる。
(1)創出したい価値の再定義
キカイにできることが広がった今、「これまで諦めていたことが実現できる」「もっと高い価値や潜在的に求められていることを実現できる」と考え、目指す創出したい価値を改めて定義してもよいのではないか。少なくとも目的や全体像を定義せずに、やみくもにキカイを使うのは避けたい。なぜなら、場当たり的な活用やつぎはぎを生むからである。
(2)価値を実現する必要十分な機能へ分解
創出したい価値を実現するために本来的に必要な機能を考える。つまり、価値を機能に要素分解し、ムダも不足もない機能を考えてみる。今のタスクやオペレーションを振り返り、価値実現に対して本来的には無駄なことをやっていないか、一度目的に立ち返って考えてみてもよいだろう。
(3)キカイが得意なことをキカイに
必要な機能が明確になったら、キカイが得意なことはキカイに任せる。キカイにできることは格段に広がっており、例えば大量の情報をもとにパターン化や最適化を行い、ロジカルに答えを出すのはキカイのほうが得意である。そこには、需給マッチングや将来予測など、これまではヒトがカン・コツで行っていたものも含まれる。また、上空・高所や危険な場での作業など、ヒトにはできないこともキカイの役割である。
(4)やむを得ずヒトが行う機能はキカイがサポート
本来的にはヒトが得意ではなくキカイに任せたいものの、現時点ではキカイにはできない機能もあるだろう。そのような機能も部分的にキカイがヒトをサポートすることもできる。例えば、パワードスーツのようにヒトがやらざるを得ない作業をサポートするようなキカイも出現している。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授