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» 2022年02月24日 07時02分 公開

琉球アスティーダの奇跡 夢を実現する志の力ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

創設3年でプロスポーツチームとして日本初の株式上場をはたした、琉球アスティーダスポーツクラブ。また、運営している卓球チームも初の日本リーグ優勝を果たした。なぜ、たった3年でここまで達成ができたのだろうか。

[早川周作,ITmedia]

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


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『琉球アスティーダの奇跡』

 2021年3月、琉球アスティーダスポーツクラブは、創設3年でプロスポーツチームとして日本初の株式上場をしました。クラウドファンディングで株式を調達した企業としても日本初の上場となります。

 また、運営している卓球チームも初の日本リーグ優勝を果たしました。

 なぜ、たった3年でここまでの達成ができたか、お伝えします。

「志」を持つ

 私は、これまでの人生で望むと望まざるとに関わらず、志を持たざるを得ない環境にありました。

 19歳の時に父親の会社が倒産し、そのまま父が蒸発してしまったのです。行政は力になってくれず、新聞配達をして夜間の大学へ入り、どん底からはい上がってきました。

 その経験で痛感したことがあります。それは「強い地域、強いもののための社会ではなく、弱い地域、弱いものに光を当てる社会をつくりたい」というものです。

 卓球プロチームの打診を受けた時、卓球は5歳で始めて15歳で世界の頂点を目指すことができ、また貧富の差、性別の差、体格の差に関わらず、誰もがチャンスを与えられるスポーツであることを聞き、私の志がかなえられると直感し、引き受けることにしました。

 弱いものが、強くなれる。志があるところには、必ず道が開けることを、私の人生をかけて証明したいという思いを持ちました。

 しかし、会社を立ち上げたものの、厳しい茨の道が待っていました。

 当初は、すでに数社のスポンサーが内諾しているので、会社運営の資金を心配することは無いと聞いていました。ところが実際にふたを開けてみると、大きく話がずれていて、ゼロから開拓しなければならない状況でした。

 やると決めたからにはやり切るしかない。必死でスポンサー獲得に動きました。

 しかし、どんなに企業訪問をしても「株なら買いたいけれど、スポンサーは厳しい」ということの繰り返しでした。

 なぜ、こんなにも夢と感動を与えるスポーツに、日本人はお金を出さないのだろう、という疑問を持ち、その原因を分析したところ、スポーツ業界にお金が集まらない3つの理由にたどり着きました。

1、ガバナンス(統治)がきいていないこと

2、ディスクロージャー(情報公開)がされていないこと

3、上場会社が1社もないこと

 つまり、適切な市場から、適正なお金を、適正に集められる仕組みをスポーツ業界が持っていないということです。

 それをどう解決するか、その結論が、琉球アスティーダが上場することでした。

やり切る力 ―上場―

 上場を決意してからは、さらに厳しい道を歩むことになりました。

 予算と実績が乖離していると、上場審査にマイナスになってしまうのですが、実際社内でスポンサーを獲得できるのが、最初は私1人という状況でした。だから出来ない、では志はかなえられません。何が何でもやるんだ!という強い信念で突き進みました。

 当時通っていたビジネススクールで偶然会った旧知の友人に時間をもらい、即座に数千万円のスポンサーをもらったこともあります。資金調達においても、真剣勝負のプレゼン1回でベンチャーキャピタルからの調達を実現しました。

 会社設立から半年後に行った増資の際も、集まってくれた投資家の皆さまは、会社は何の実績も残していない段階だったのに、私という一人の人間を信じて出資をしてくれました。また、クラウドファンディングで株式を募集した時には、9分21秒で1000万円の調達をしました。

 とにかく、ありとあらゆる正しい手段を模索して突き進みました。

 私には、できるかできないか、ではなく、「やり切る」という選択肢しかありませんでした。だから、常に「どうしたらできるか」を考え続け、PDCAを回し、仕組化する。それを地道にひたすら繰り返すことで、基礎を作ってきました。

 志があることによって、困難を成長への糧とし、やり切る力を得ることができるのです。

信頼 ―チームビルディングー

 初年度最下位の琉球アスティーダを、なぜ3年でリーグ優勝へ導くことができたかについても触れたいと思います。

 卓球に無知だった私は、最初は勧められた選手をそのままチームへ迎い入れ、試合に臨みましたが、なかなか勝つことができませんでした。

 選手たちはもちろん実力があります。それなのになぜ勝てないのか。私なりに選手を観察し、研究と分析を重ね、私なりの方針を決めました。

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