相手が思わず契約したくなる提案の進め方とは(1/2 ページ)

多くの営業マンの営業先での提案の進め方を分析すると、重要な要素が抜けていることが多い。それは「質問」で、成約率は質問の重ね方に大きく左右される。

» 2022年03月02日 07時06分 公開
[藤田耕司ITmedia]

コンサルティングの相談で多い「成約率が低い」という悩み

 私は経営心理士として、優れた経営者やビジネスパーソンの行動を心理学的に分析した結果を経営心理学として体系化し、経営コンサルティングを行い、その内容を学ぶ経営心理士講座を主宰している。

 この経営コンサルティングで受ける相談の中でも多いのが、「成約率が低い」という内容である。

 ただ、成約率が低いと悩んでいる人はまだいい。困るのは、「成約率が低いなら数をこなせ」と、数打ちゃ当たる方式で営業を展開する人。

 私はそういう人には待ったをかける。

 お客さまは一度提案を聞いて興味がわかなければ、二度と話を聞いてくれなくなる。つまり、見込み客を訪問して興味を持たれないということは、見込み客を「二度と話を聞いてくれない人」に変えていくことでもある。

 そのため、成約率が低い状態でより多くの見込み客を訪問することは、労力とコストをかけて集めた見込み客を、次から次へと「二度と話を聞いてくれない人」に変えていくことであり、あまりにもったいない状態になっている可能性が高い。

 なので、待ったをかける。

 では、成約率を高めるためにはどうすればよいのだろうか。

多くの営業マンは一番大事なことをやっていない

 これまで私は、コンサルティング先の営業マンに同行し、提案の進め方を分析してきた。また、これまで弊社にも数多くの営業マンが営業に来たが、その際にも提案の進め方を観察してきた。

 その結果、ほとんどの営業マンは次のような流れで提案をする。

1、名刺交換をしてアイスブレークのための雑談をする

2、本題に入り、パンフレットを広げる

3、会社の事業内容、実績、業歴、顧客数、支店の数など、会社説明をする

4、商品の機能、内容、他社商品にはない強み、価格など、商品説明をする

5、ここまでで不明な点がないかを聞く

6、購入の意思を確認する

7、その場で購入の意思を示してもらえなければ、後日、フォローの連絡を入れる

 この流れには営業で重要な要素が抜けている。

 それは「質問」である。

どのような商品に価値を感じるのか

 営業とはお客さまに商品の価値を伝えることである。では、お客さまはどのような商品に価値を感じるだろうか。

 それは「自分のニーズを満たしてくれる商品」である。

 そのためにやるべきことは、「弊社の商品はあなたのニーズを満たします」と、説得力を持って伝えることである。

 となると、必然的にやらなければいけないことがある。

 それはお客さまのニーズを把握するために必要なこと、「質問」である。

 先の提案の流れを見ると、どこにもお客さまのニーズを把握する質問がない。その状態で、「弊社の商品はあなたのニーズを満たします」と説得力を持って伝えることは当然ながら難しい。

 つまり、この提案の仕方ではお客さまに効果的に価値を伝えられる可能性は低い。

価値を感じる商品説明とは

 この点を踏まえ、次の商品説明を見比べてほしい。

  • 質問をしてお客さまのニーズを詳細に把握した上で、「そういったニーズをお持ちでしたら、弊社の商品はちょうどいいかもしれません。といいますのも……」と、ニーズに合わせて商品の説明をする。
  • お客さまのニーズを把握することなくパンフレットを広げ、パンフレットの内容に沿って一方的に商品の説明をする。
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆