上司・マネジメントに当たる人は、人を使う力だけでなく、自分が人に使われる力が重要。その最たる人が、リクルート創業者の江副浩正さん。
エグゼクティブの皆さまが活躍する際に発揮するマネジメント能力にスポットを当て、「いかなるときに、どのような力が求められるか」について明らかにしていく当連載。第4回も前号に続き、当社(経営者JP)主催のオンライントークライブでプリンシプル・コンサルティング・グループ代表の秋山進さんと当連載筆者の経営者JP代表・井上との対談の内容からお届けします。(2022年1月27日(木)開催「経営者力診断スペシャルトークライブ:経営者・役員になれる人vsなれない人」)
「経営者力診断」では「経営者力」を(「描く力(構想力)」+「決める力(決断力)」+「やり切る力(遂行力)」)×「まとめる力(リーダーシップ力)」×「学び続ける力(学習力・習慣化力)」の5つの力の組み合わせで表わしています。前回はこの中から、「決断力(決める力)」を持てるようになる人は日頃の業務においてどのようなことをしているのかについて見てみました。
今回は「実行力(遂行力、やり切る力)」について、さらには将来役員になる人はどのような思考・行動をしているかについての話です。
秋山さんによれば「実行力(遂行力、やり切る力)」を持つに至る人とは、次の7つのような人だそうです。
1:人を教え導くのではなく、機能させ活用する人
2:上手に使う人ではなく、使い・使われる人
3:与えられた戦力だけではなく、戦力確保に貪欲な人
4:役割を遂行するのではなく、現在位置と将来像を示す人
5:キチンと仕事をするのではなく、ピンチに成果が出せる人
6:何でもやるのではなく、制御でき重要なことに集中する人
7:実力がある人ではなく、実力があり・運がいい人
これを秋山さんは、「リソースの確保 × チームビルディング ×チームマネジメント」で機能型チームを構築する人、とまとめています。いかがでしょうか。
ここでちょっと面白い話を秋山さんがしてくれたのですが、上司・マネジメントに当たる人が、人を使う力だけでなく、自分が人に使われる力が重要であると。その最たる人が、リクルート創業者の江副浩正さんだったというのです。
商談などにおいて、部下にうまく使ってもらうのがうまかったのが江副さんだった。確かに、僕は江副さんなき後の世代でしたが、部下が商談や交渉をうまく進めるために、部下のほうから遠慮なく上司や役員を「駒として使う」カルチャーが、リクルートにはありました。おそらくいまもあるのではないでしょうか。
若手の頃から、自分の仕事を成功させるために、遠慮なく上を使うことを覚える。上司たちはそれを歓迎し協力する。上役であっても業務をうまく行うために機能として使う、上役として部下たちにうまく使われる。
このような「機能主義」的な仕事の進め方も、リクルートのカルチャーと強さの源泉のように思います。
皆さまの会社、あるいは皆さま自身はいかがですか?
上役として「なんで俺が、部下のお前に使われなければならないんだ?!」などと言っていたら、遂行力に長けたマネジメントとして大成することは難しいかもしれませんよ(笑)。
ちなみに経営者力診断では、「決断力(決める力)」の有無を評価するポイントとして、「事業や経営での意思決定への主体的な参画があるか」「多様な意見・利害関係の中でも最適な判断をすべく動いているか」を見ています。ぜひ受検してチェックしてみてください。
続いて、もしかしたら読者の皆さまが最も興味があるテーマかもしれませんが、将来、役員になる人とはどのような人なのか?
これについて秋山さんは、「7つの<and資質>」を抽出しました。
1:柔軟かつ頑固である
2:具体的かつ抽象的である
3:情を理解し、理を大事にする
4:自己の壁を認識して、超越する
5:違いを前提とし、同じ方向に目を向ける
6:弱みを把握し、強みに注目する
7:自立し、かつ協力する
『ビジョナリーカンパニー』で「ANDの才能」が紹介されていますが、一見矛盾するようなことを両立させることこそ、役員になる人がやっていることであり、強みとなるところなのです。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授