「決断力(決める力)」を持つに至る人の7つの思考と行動とは。
エグゼクティブの皆さまが活躍する際に発揮するマネジメント能力にスポットを当て、「いかなるときに、どのような力が求められるか」について明らかにしていく当連載。第3回も前号に続き、当社(経営者JP)主催のオンライントークライブでプリンシプル・コンサルティング・グループ代表の秋山進さんと当連載筆者の経営者JP代表・井上との対談からお届けします。(2022年1月27日(木)開催「経営者力診断スペシャルトークライブ:経営者・役員になれる人vsなれない人」)
「経営者力診断」では「経営者力」を(「描く力(構想力)」+「決める力(決断力)」+「やり切る力(遂行力)」)×「まとめる力(リーダーシップ力)」×「学び続ける力(学習力・習慣化力)」の5つの力の組み合わせで表しています。前回はこの中から、「構造力(描く力)」を持てるようになる人は中堅時代(リーダー〜マネジャー時代)にどのようなことをしているのかについて見てみました。
今回は「決断力」について注目してみます。
「決断力(決める力)」を持つに至る人とは、秋山さんによれば次の7つのような思考・行動ができる人だそうです。
1:幅広い興味関心を持つ人ではなく、興味関心が広がる人
2:強烈な目的意識だけでなく、偶然の活用を知っている人
3:直ちに整理せず、別の意味の可能性を考慮できる人
4:個別最適化だけでなく、全体最適化を理解できる人
5:複雑に把握せず、目的的にシンプルに整理できる人
6:直属上司に合わせるのではなく、狭あいな判断とぶつかる人
7:合議ではなく、自分で決めることのできる人
どうでしょう。できているものもあれば、そうは言ってもなかなか…というものもあるのではないかと思います。
秋山さんはこれらをまとめて、収集× 解釈 × 意思決定の「高いインテリジェンス能力」を持つ人こそが、決断力を高めていくことのできる人だといっています。
上記の7つについては、各文章を吟味するとなかなか興味深い視点が各処に含まれています。着目してほしいところをピックアップしてみましょう。
4つ目に「個別最適化だけでなく、全体最適化を理解できる人」とあります。
私たちは業務をしていて、なかなか事業、ビジネス構造の全体を常に見渡して動くということはできません。担当している業務、部署、せいぜい部門の範囲内で目の前のことに取り組んでいます。しかし、そうすると時に、行っている業務が全体から見ると必ずしも適した行動ではなくなっている、場合によっては望ましい行動から外れてしまっているということがあり得ます。
見えにくい全体を見に行く人、常に意識し行動する人。こうした人が構造変革の発起人になりますし、特に変革期においては経営クラスの人たちにはこの視界が必須で求められます。
若手の中でも、この全体を見に行ける、意識し行動できる人はいます。ところが、この「全体が見えている人」は、時にチームの中では疎ましく思われることがあるのです。
見えてしまっているがゆえに、ズバズバと本質的な問題提起をする。あるいはそれが自分のチームでは理解されない、受け入れられないということが分かってしまっていると、チームの中で斜に構えているかもしれません。
こういう人は、課長から嫌われます(苦笑)。面倒臭いメンバーだからです。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授