BBB時代のDX推進において「アルムナイ」が企業にとって貴重なパートナーになるITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(1/2 ページ)

ある調査によれば、DXで十分な成果を上げていると答えた企業は10%にすぎないという。DXが進まない理由の1つに人材不足がある。人材獲得戦略にアルムナイを加えることで、効率的なDXの実現が期待できるという。

» 2025年04月02日 07時08分 公開
[山下竜大ITmedia]

 ライブ配信で開催されているITmedia エグゼクティブ勉強会に、ハッカズーク 代表取締役グループCEOの鈴木仁志氏、およびレイン 代表取締役の芦川由香氏が登場。「アルムナイ・リレーションシップ活用によるDX推進~」をテーマに、レインとハッカズークのソリューションを連携することでDXの実現を目指す「DX人材×アルムナイ」の取り組みについて紹介した。

アルムナイ事業と採用支援事業で人材の「入り口」と「出口」をつなぐ

ハッカズーク 代表取締役グループCEO 鈴木仁志氏

 ハッカズークは、「変化するライフスタイルに、人と組織が適応するためのサービスを提供する」というミッションに基づき、企業と退職者をつなぐアルムナイ(退職者)領域のパイオニアとして、退職で終わらない企業と個人の新しい関係を実現し、退職による損失をなくすための事業を展開する。

 鈴木氏は、「主力事業であるアルムナイ特化型SaaS『Official-Alumni.com(オフィシャル・アルムナイ)』は、退職者版の人事管理システムとコミュニティツールで、退職者の一覧を参照したり、その企業の退職者と一部の社員のみが参加するアルムナイコミュニティでのコミュニケーションが取れるシステムを提供します。業種・業態を問わず、すでに多くのエンタープライズ企業に採用されています」と話す。

レイン 代表取締役 芦川由香氏

 一方、レインは、「Light up EngINeer - エンジニアが輝く社会へ」というビジョンに基づき、DX人材やエンジニア採用をメインとした採用業務代行(RPO:Recruitment Process Outsourcing)やコンサルティングサービスを事業として展開することを目的に6年前に創業。いわゆる人材紹介の会社ではなく、企業側の立ち位置で採用をサポートする。

 また世界最大級のビジネスSNSである「LinkedIn」の公式パートナーとして、販売や導入・運用支援サービスも提供している。芦川氏は、「レインの強みは、最上流の採用戦略立案から母集団形成、選考、内定対応までの実務代行、採用プロセスのすべてにおいての伴走支援を提供することができることです」と話している。

人材確保が難しい現在、DX推進に必要な人材をいかに採用するか

 DXという言葉が誕生したのは2004年である。その後、2018年に経済産業省が「DXレポート」を公開し、その中で「2025年の崖」という表現でDXの必要性を説いてから6年が経過した。しかし、ある最新の調査によれば、DXに関して「十分な成果が出ている」と答えた企業は10%程度にすぎないと報告されている。DXが進まない理由の1つに、企業におけるIT人材不足、DX人材不足がある。それでは、IT人材とDX人材は何が違うのか。

 「IT人材は組織に適切な情報システムの導入および運用を行う人たちを意味することが多く、DX人材はITを駆使して社内や事業の変革(トランスフォーム)を推進していく役割の人たちを意味します。DXに必要な人材は、DXで何を実現したいかにより、人材のタイプやレベル感が異なります。またプロジェクトごとにDXのゴールが異なるので、プロジェクトごとに人材要件を見直し、チームを組成することも必要です」(芦川氏)

 DX推進に必要な人材を採用するためには、まずDXで達成するビジョンを策定(To-be)し、「DX戦略」のゴールを決めることが必要。ゴールが決まったらビジョンと現状のギャップを分析(As-is)し、ギャップを埋めるために必要な人材要件を定義する。ここから人事・採用担当者を巻き込み、採用か、社内異動か、ベンダー依頼かなどの手段を検討して、どのように人材を調達するかを計画して実行する。

 人材要件の整理には、大きく2つあります。1つは情報処理推進機構(IPA)が公開している『DX推進スキル標準』の人材類型の定義で、もっとも難易度が高いのがビジネスアーキテクトだ。単に技術力だけではなく、ビジネスリテラシーが必要なので見極めが困難だ。もう1つはDX人材に必要な要素を、デジタルスキル(技術)、ビジネス理解(知識)、変革推進力(人間性)の3つの要素で定義する方法である。

 デジタルスキル(技術)は応募時に判断しやすい要件であり、ビジネス理解(知識)は文字情報では理解度は判断しにくいことから面接などで見極めることが必要な要件である。また変革推進力(人間性)は、一緒に仕事をしてみないと分からないことから、アルムナイの紹介やアルムナイの再雇用が有効になる。技術、知識、人間性の3つの要件を1人に求めるとスーパーマンが必要なので、いかにチームで対応するかを検討する必要がある。

DX人材に必要とされる要素を3つ定義(画像提供元:ハッカズーク)^スキルベース時代のBBBモデルで重要になるアルムナイとの関係
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