ミスマッチのポイントを見逃したまま入社してしまったり、あるいは採用してしまうことがないように、転職する側としても採用する企業側としても、より個人の棚卸やプロファイルに目が行くだろう。
エグゼクティブの皆さんが活躍する際に発揮するマネジメント能力にスポットを当て、「いかなるときに、どのような力が求められるか」について明らかにしていく当連載。
ミドル・シニア層の転職が広まっている中で押さえておくべきキャリアと転職のトレンドについて、合同会社THS経営組織研究所代表社員の小杉俊哉氏、株式会社ルーセントドアーズ代表取締役の黒田真行氏をゲストに迎え、当連載筆者の経営者JP代表・井上との鼎談の内容からお届けする第5回です。(2024年2月6日(火)開催「経営者力診断スペシャルトークライブ:どうなる?どうする?ミドル・シニアのキャリアと転職」)
コロナ前くらいから年々増大していることがうかがえるのですが、ミドルやシニアの人が「転職して失敗した」という相談がすごく増えています。
原因はいろいろとありますが、選択ミスだったり、ミスマッチのポイントを見逃したまま入社してしまったり、あるいは採用してしまったりしています。間違ったものをそのままにしておくのは良くないので、当社でもバックアップしていますが、本来はそういうことが起きないようにするほうが、当然良いはずです。
転職する側としても採用する企業側としても、こうしたミスマッチを起こさないために、より個人の棚卸やプロファイルに目が行くだろうと感じています。
その流れで、最近日本企業もリファレンスチェックをすることが、すごく増えてきています。それは、ここで今言っているようなミスマッチを防止したいという欲求が、さらに高まっていることの表れでしょう。
自分のことを客観的に評価するのは、実はなかなか難しいところもあるので、そのためにいろいろな自己診断ツールなどがあります。個人である皆さんが自分を確認して、ミスマッチが起きないようにすることと、採用する側もミスマッチを起こしたくないので、当然面接の精度を上げていくことが一番の正攻法です。
これを私は「自己証明」と呼んでいます。
そこに客観的に評価するツールとして、アセスメントやリファレンス(チェック)を導入したりする具体的な試行錯誤が増え始めていて、これは今後の大きなテーマになりそうだなと感じています。
当社ではこの流れも捕まえ、マネジメント力を推し量るオンライン適性診断(「経営者力診断」)やEQ診断をミドルやシニアの皆さまに提供しています。
「自己証明」には、職務経歴書の記述や実際の面接での自己紹介が非常に大事です。
それは、過去どんな会社でどんな活躍をしてきたかの証明ではなくて、「私が入社したあかつきには、どんな成果を出し得るか」の確からしさを証明することです。そのために過去を材料として使っているだけだということです。
過去実績だけ言われても相手方がしらけてしまうというか、「ところでうちで何をどうしてくれるの?」という話です。未来の成果をどう生み出すかを証明する、と考えたほうがいいですね。
ソリューション型の商談であれば、いきなり「これはこういうふうに便利で」って言い出すのは下手な営業で、それよりも「どうしたんですか?」「どんなことをしたいんですか?」という、お客さまの状況から入るのがうまい営業です。
転職では自分自身が商品ですから、「なるほど。そういう状況であれば、私が仮にご縁があった場合はこんな観点でアプローチして、こういう結果を、こういう理由で出せると思うんですけどどうでしょう?」という話です。
「なぜそんなことを井上さんができるの?」と聞かれたら、「なぜならば」という答えがちゃんとあるといいですよね。そこで初めて、過去実績とか客観的に伝えられるものを提供することができます。
職務経歴は確からしさを増すための証拠、材料でしかありません。しかし、転職活動において、それを伝えること自体が本題になっている人がすごく多いのが実状です。
「プロダクトアウト型転職活動」では、ちょっとまずいのです。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授