フォローした人だけ表示、足あとなし……国産SNSがやさしさとストレスフリーで急成長

「見たくない投稿が出てくる」「未読無視がつらい」――。SNS(交流サイト)疲れを感じる人が増えるなか、使い手が「負担」を感じる場面に配慮して、「やさしさ」を機能追加した日本発のSNSが支持を集めている。

» 2025年04月01日 08時17分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 「見たくない投稿が出てくる」「未読無視がつらい」-。SNS(交流サイト)疲れを感じる人が増えるなか、使い手が「負担」を感じる場面に配慮して、「やさしさ」を機能追加した日本発のSNSが支持を集めている。

mixi2のホーム画面。フォローしている人の投稿が時系列で表示される(MIXI提供)

居心地の良さが魅力の新ミクシィ

 日々のできごとを日記のようにつづるスタイルで、平成16年の誕生後にブームとなったSNSサービス「mixi(ミクシィ)」。20年を経て、昨年12月に登場した「mixi2」は、公開から1週間で登録者が120万人を超えた。

 mixi2の特徴は、手軽に分かりやすく気持ちを伝える工夫にある。投稿は短文形式。文字を大きくできるほか、文がはねたり、ふるえたりする「エモテキ」で、感情表現を助ける。また、他の人の投稿へのリアクションも、絵文字に加えて、「おつかれ」「すごい!」といった日本語のアイコンを豊富にした。

 運営元のMIXI(東京都渋谷区)の創業者で取締役ファウンダーの笠原健治さん(49)は、mixi2の構想を約2年前から始めたという。

mixi2を手がけた笠原健治さん (MIXI提供)

 X(旧ツイッター)やInstagramなどには、フォローしていない見ず知らずの人の投稿を「おすすめ」として表示するレコメンドシステムがあり、それを煩わしく感じる人もいるという。

 一方、mixi2はアプリを開くと、フォローした人の投稿が時系列で表示され、意図せず表示された知らない人の投稿を見なくて済む。「つながった人とのコミュニケーションの場というSNS本来の目的が失われていく状況に、モヤモヤを感じ、一石投じる挑戦がしたかった」と笠原さん。

 一方で、趣味や関心をもとに新たなつながりを広げられるように工夫もした。以前のmixiは読むと、足あと(アクセス履歴)がつく機能があったが、mixi2には、これがない。気軽に他の人の投稿を見ることができる。

 「つながっている人と関係性を深めたり、フォロワーが少なくても、趣味や推し活などの『コミュニティ』で交流したりできる。アプリ内は、ほっこりとした居心地のいい雰囲気で、使う人が主役となれるようなサービスを目指しています」(笠原さん)

テキストで電話のように「通話」する

 投稿したのになかなか相手が読んでくれなかったり、読んでも反応がない「既読スルー(無視)」に傷ついてしまう。そういった心理的な負担に配慮したのが、テキスト通話アプリ「Jiffcy(ジフシー)」だ。

Jiffcyのテキスト通話は、入力中の文字も相手に表示される(穴熊提供)

 電話のように相手を呼び出し、相手が応じると入力した文字が1文字ずつ表示され、リアルタイムで対話でき「返事を待つストレス」がない。令和5年4月にリリースされ、150カ国以上で使われている。

 アプリを開発したのは、穴熊(東京都渋谷区)の代表取締役CEO(最高経営責任者)、西村成城さん(29)。

 「相手の間や相づちがリアルなタイミングで文字になり会話が進むので、気持ちが伝わりやすく、言葉選びに悩むこともない」

 コロナ禍と自身の経験が開発のきっかけになった。

「Jiffcy」を開発した西村成城さん

 「大学2年から起業してアプリを作り始め、20個くらい失敗して、落ち込んで。誰かと会って話したいけど、コロナで会えない。電話するのはハードルが高く、テキストで電話みたいなことができないかと思ったのが始まりでした」

 電話離れが進む若者を中心に支持を集め、ユーザーは10代が65%、次に20代が22%を占める。「今の若い世代は電話に慣れていない人が多い。相手への配慮を重要視していて、テキストメッセージで済むような内容で、電話することに抵抗を感じる人が多いと思うんです」と指摘する。

 テキスト通話は相手の許可があって初めて可能となり、内容や履歴が残る。

 「あらかじめ友達申請を許可した人としか通話ができないので、突然知らない人から話しかけられることもなく、いじめなどのトラブル対策としてテキスト通話の記録を残すなど、安心して利用できるよう配慮しています」という、やさしさにあふれた新しいSNSだ。(本江希望)

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