引き続き中国市場を重視していく姿勢を強調した。
資生堂の魚谷雅彦会長(69)は、産経新聞のインタビューに応じ、引き続き中国市場を重視していく姿勢を強調した。主なやりとりは以下の通り。
――中国事業の見通しは
「経済全体は低成長化してきているが、化粧品市場は底堅い。『クレ・ド・ポー ボーテ』などの高価格帯ブランドはしっかり伸びて構成比が高まっている。東京電力福島第1原子力発電所の処理水放出による不買の問題もだいぶ収まってきた。春節を転換点に今年の初めには落ち着いてくれると思う。何より中国はスキンケア市場が世界一だ。経済成長が鈍化して仮に3%となっても、その伸びの分は非常に大きい。しっかりと押さえておきたい」
――対中国の商品戦略は
「『SHISEIDO』ブランドの一部では商品開発の最初の段階から香りや使用感など現地の消費者ニーズをくみ取り、中国らしさを加えた形にできないか取り組む。日本の研究所の幹部を中国の研究所のトップに据えて人員や研究内容を充実させ、開発を主導できる体制を強化している」
――国内化粧品市場は
「新型コロナウイルスの感染症の位置づけが5類に移行し、プラス成長に転じた。今年、インバウンド(訪日客向け)を除けばコロナ前の令和元年の水準にほぼ戻るだろう。若年層には低価格志向があるが、専門店・デパート向けの高価格帯は昨年、二桁回復している。俳優の反町隆史さんをCMに起用した男性向け化粧品『SHISEIDO MEN』への反響も大きかった。安くはないが、商品の持っている意味合いや価値、自分にどう合っているかを訴求できるブランドが好まれる例だ。原点に戻ってこうした取り組みをやっていく」
――国内の収益構造改革と次の成長軸は
「コロナで抑えられてきた売り上げを伸ばすことが収益改善の根源だ。それを前提に固定費全般を見直す。国内は歴史が長く、商品数が多い。売り上げの小さい商品の維持コストは負担で、その数を整理する。一方、今後、大きな成長を望んでいくのは米国だ。高金利のリターンを享受してきたので消費が強い」
(池田昇)
うおたに・まさひこ 米コロンビア大経営大学院修了。クラフト・ジャパン(現モンデリーズ・ジャパン)副社長、日本コカコーラ社長などを経て平成26年に資生堂社長。令和5年から現職。69歳。奈良県出身。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授