世界的な脱炭素の流れに加え電気代高騰で、業務用空調の省エネニーズが高まっており、電機各社には新サービスや製品を打ち出す動きが広がっている。
パナソニックホールディングス(HD)が人工知能(AI)で業務用空調を制御して電気代を削減するサービスを2020年代後半に海外展開することが30日、分かった。まずは今年4月から国内のオフィス・店舗向けにサービスを始め、米国や欧州などに広げていく。世界的な脱炭素の流れに加え電気代高騰で、業務用空調の省エネニーズが高まっており、電機各社には新サービスや製品を打ち出す動きが広がっている。
パナソニックHDが4月から展開する「AI省エネコントロール」は、外気温や時刻の変化に合わせて空調の設定温度をAIが自動制御するサービス。同社製の業務用空調を導入する必要があるが、夏季に行った実証では最大20%の電気代削減ができたという。
まずは国内から展開を開始。同社は空調事業において米国、欧州、中国などを重点地域としており、25〜30年ごろに海外へも展開する方針だ。
同社はこのサービスをサブスクリプション(定額課金)で提供する考え。同社の関係者は「パナソニックHDの制御技術は水準が高い」として、海外での競争に自信を示している。
一方、ほかの大手空調メーカーも省エネを軸とした新サービス、製品の展開に力を入れる。
日立製作所はAI制御によってピークの消費電力を抑えることで、電気の契約料金を下げる企業向けのサービスを4月から開始。部屋ごとの空調の効き具合をコントロールし、使用電力を削減する。電気の基本料金は直近1年間の最大需要電力をもとに決まるため、ピークの消費電力が下がれば電気料金を抑えられる仕組みだ。
ダイキン工業は換気による排熱を再利用することで消費電力を30%削減する換気システムの新製品を11月に発売する。換気で無駄になってしまう室内の温かい空気が持つ熱を再利用することで、空調の消費電力を削減する仕組みとなっている。
三菱電機も冷暖房の効率を約10%高めたビル用空調機の新製品を9月に発売する。(桑島浩任)
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