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» 2024年02月13日 08時52分 公開

パナ、AIで駅内放送を調整 島津製は初心者も使える分析器 省人化へ製品・サービス続々

企業の人手不足が深刻化する中、大手の電機・機械メーカーが業務の省力化につながるサービスや製品の投入を始めている。

[産経新聞]
産経新聞

 企業の人手不足が深刻化する中、大手の電機・機械メーカーが業務の省力化につながるサービスや製品の投入を始めている。人工知能(AI)を使い、業務を自動化したり、専門機器の運用を初心者でも扱えるように簡略化したりするなど、働く人の負担を減らすことに主眼を置く。専門家は「人手不足に加え、新型コロナウイルス禍での在宅ワークの普及で、省力化の製品やサービスの需要が高まっている」とみる。

 「1番線、2番線でエレベーター取替工事を実施します」。駅構内で工事の情報を伝えるアナウンスが流れる最中、電車がホームを通過し、内容が聞き取れなくなる。

 JR高輪ゲートウェイ駅(東京都港区)やさいたま新都心駅(さいたま市)で、パナソニックホールディングス(HD)傘下でIT事業などを手がけるパナソニックコネクトが実施した実証実験の様子だ。

 駅では日々さまざまなアナウンスが流れており、利用客にとって重要な情報も多い。しかし、電車がホームを通過する騒音などで内容が聞き取れないことも多々ある。そのため、JR東日本では放送のたびに駅員が音量を調整することで対処しているが、一定以上の規模の駅だと1日の放送回数は100回以上もあり、大きな負担となっていた。

 そこでパナソニックコネクトはJR東と共同でAIによって放送音量を自動調整するシステムを開発。構内の騒音をセンサーがリアルタイムで監視し、放送の音量が騒音よりも少し大きくなるように自動で調整する。12月にさいたま新都心駅で本格稼働しており、ほかの駅への導入も検討する。

 一方、島津製作所は12月、初心者でも扱える簡単操作を売りにしたガスクロマトグラフ質量分析計を発表した。食品メーカーなどが食品中の残留農薬や飲料水に含まれる有機化合物の分析などを行うさいに使われるが、従来の分析計では読み取った波形データがどの成分に対応するのか人の手で解析しなければならず、高い専門性が必要だった。

 この新製品はAIが解析を行い、熟練者に相当する解析結果が自動で得られるため、初心者でも簡単に扱えるという。また、これまで手作業で行われていたメンテナンスもカートリッジを入れ替える方式にすることでかかる時間を25分から1分へと短縮。同社の担当者は「専門的知識を持たなくても扱えるので、人手不足に貢献できる」と話す。

 オムロンは企業が導入する機器のトラブル対応をサポートするサービスを展開している。機器トラブルが発生したさい、連絡を受けたオムロン側がその内容や修理結果などをデータベース化。似たようなトラブルが起きた場合、データベースを踏まえ、迅速で適切な対応を行うことができる。

 コンビニエンスストア大手、ローソンへの導入事例では、レジに設置された釣銭機のトラブル内容を分析した結果、店側の清掃作業で対応できるにもかかわらずメーカーによる修理・交換を実施していたケースが多数あったことが判明。

 データベースを踏まえ、トラブル別にどう対応すればいいかのマニュアルを各店舗に配信したところ、月間の修理・トラブル対応件数が4400件から2600件に減少したという。

 りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員は、近年の情勢で省力化のニーズが高まっていると指摘した上で「(電機・機械メーカーなどの)大企業が社内で培ってきた省力・省人化の技術やシステムを外販するケースが増えていくのではないか」としている。(桑島浩任)

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