蓄電池の寿命・EV走行距離を5倍以上に 大阪ガス子会社が開発 7年度から電動バイク用試作品

大阪ガス子会社のKRIは26日、電気自動車などに搭載するリチウムイオン電池で現在の5倍以上の寿命を実現する「超長寿命蓄電池」の開発に、世界で初めてめどをつけたと発表した。

» 2024年02月27日 08時06分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 大阪ガス子会社のKRI(京都市)は26日、電気自動車(EV)などに搭載するリチウムイオン電池で現在の5倍以上の寿命を実現する「超長寿命蓄電池」の開発に、世界で初めてめどをつけたと発表した。令和7年度に顧客企業が性能を評価するための試作品を供給し、最終的には容量30キロワット時の電池を搭載するEVの延べ走行距離を、現在の16万キロから80万キロ以上に延ばすことを目指す。

KRIが開発した超長寿命蓄電池の試作品=26日午後、京都市

 KRIは電池や省エネシステムなどの研究開発をメーカーなどから受託。EVが普及すれば、電池の容量よりも電池が廃棄されることによる環境負荷の低減が重視されるとみて、蓄電池の超長寿命化を目指している。

 蓄電池は内部でリチウムイオンが均一に流れないことで劣化が進む。電池の正極・負極の粉末状の材料を固めるために使われる「バインダー」と呼ばれる接着剤がイオンの流れを妨げることが原因とされる。

 同社はそこで材料や電極構造を見直し、既存のバインダーを使わなくてすむ技術を開発して電池の機能を維持することに成功。劣化速度を遅くすることができるという。

 6年度は社内で実証を進め7年度から顧客向けに電動バイクに搭載する容量の試作品を供給。自動車や蓄電池メーカーなど国内の6社から引き合いがある。開発は材料メーカーなど10社程度の電池関連企業と連携して進め、将来は技術をメーカーに提供し実用化する。(牛島要平)

copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆