「新しい発想というのもどこかにあったものの組み合わせでしかない」とはよく言われることだが、どうすれば「どこかにあるものを借りてくる」ことができるのか?
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
これまでの日本の繁栄を築いた一つの「成功パターン」であった、欧米の先進事例や製品をブラッシュアップしてより「安く」「速く」作るというモデルは徐々に新興国に侵食され、日本独自のアイデアがこれまで以上に必要になってきています。
ここではそんな時代に必要な、新しい発想を生み出すヒントについて解説します。「新しい発想というのもどこかにあったものの組み合わせでしかない」とはよく言われることですが、どうすれば「どこかにあるものを借りてくる」ことができるのでしょうか?アナロジー思考というのは、その問いに対する一つの答えです。
アナロジーとは日本語では「類推」のことです。つまり「類似しているものから推し量る」ということです。つまりある意味でこれも「真似」の一種ということになります。身近な例でいけば、「たとえ話」というのもアナロジー思考の典型的な応用例ということになります。人間は新しい経験をするときにでも無意識のうちに昔の経験から類推して物事を考えます。これは誰しも普段から実践しているものの考え方ですが、新しいアイデアを生み出すための発想にも応用することができます。ではこれは単なる真似、いわゆる「パクリ」とはどこが違うのでしょうか?
アナロジー思考で重要なのは、「遠くから借りてくる」ということです。誰でも気付くような「近くから借りてくる」のでは価値がありません。そのために必要なのは、普通の人では簡単に気付かないような思わぬ類似点を見つけることが原点になります。例えば全く縁のなさそうな他業界からとか、ビジネス以外の伝統芸能やスポーツ、あるいは歴史上の出来事や趣味の世界等、何でも「借りる」対象になりえます。
実は何かと何かが「似ている」というのもさまざまなレベルやタイプがあります。ここで区別する必要があるのは「表面的類似」と「構造的類似」の違いです。これらはデジタルに2つに分かれるものではありませんが、「表面的類似」というのは文字通り見た目が似ているもので、「構造的類似」というのは、直接的に個別の対象物が似ていなくても「関係性」が似ているということです。具象と抽象のレベルの違いとも言えます。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授