井上氏は海外企業のM&A(合併・買収)や戦略的な提携を進めて業績を拡大し、社長就任から約30年で売上高を10倍以上に引き上げた「中興の祖」といえる存在。
ダイキン工業を空調世界最大手に成長させた井上礼之会長の退任が9日発表された。井上氏は海外企業のM&A(合併・買収)や戦略的な提携を進めて業績を拡大し、社長就任から約30年で売上高を10倍以上に引き上げた「中興の祖」といえる存在。井上氏が経営の一線を退いた後もダイキンが現在の成長を維持できるか注目される。
井上氏が社長に就任した平成6年当時のダイキンは売上高4千億円に満たない中堅企業だった。しかし、マレーシアのOYLインダストリーズや米グッドマンなど空調大手を次々に買収することで、グローバルで事業を拡大させた。
26年に代表権を返上して最高経営責任者(CEO)を退き、十河政則社長にCEOを引き継いで責任と権限を一本化しつつも、M&A巧者としてダイキンの成長を支え続け、令和6年3月期連結決算では売上高が過去最高の4兆3953億円までになった。
事業拡大での成果が目覚ましい井上氏だが、会長職を引き継ぐ十河氏は「人を基軸にする企業文化を培ったことが、売上高や時価総額に代えられない一番の功績だ」と強調する。
井上氏は経営トップとして国内外の拠点に頻繁(ひんぱん)に足を運び現場主義を徹底。現地社員らと積極的にコミュニケーションを図り、社員の人間性に重きを置いた経営を貫き、その理念をグループに浸透させた。
新社長に就任する竹中直文専務執行役員は井上氏について「いろいろな経験や挑戦をさせていただいた」と振り返り、「人を大切にする企業文化を必ず継承したい」と力を込める。
会長退任後も名誉会長兼グローバルグループ代表執行役員として「求心力の要になってもらう」という十河氏の発言が、ダイキンにとって井上氏の存在がいかに大きいかを示している。井上氏抜きでも成り立つ経営体制を早期に確立できるかが今後の課題となる。(桑島浩任)
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