国内では人手不足やビジネス環境の変化に対応するため、企業や自治体などでDX需要が高まっているためだ。電機各社は従来の家電などのモノ売りから、DXを軸としたITサービス事業を収益の柱とする経営体制への転換を加速させている。
電機各社がデジタル技術を活用し、業務効率化を図るデジタルトランスフォーメーション(DX)事業を強化している。国内では人手不足やビジネス環境の変化に対応するため、企業や自治体などでDX需要が高まっているためだ。電機各社は従来の家電などのモノ売りから、DXを軸としたITサービス事業を収益の柱とする経営体制への転換を加速させている。
NECは30日、同社のデジタル技術や人材を集約したDXのサービスブランド「ブルーステラ」を設立したと発表した。DXの製品・サービスを一元的に企画・開発する約400人の事業推進組織を新設した。
顧客にビジネス変革の戦略を提案するコンサルティングからサービス提供、運用・保守までの全工程で人工知能(AI)を活用し、新たな価値を創出する。AIコンサル約100人を配置した。森田隆之社長は同日の事業説明会で「DXを新たなステージに進化させたい」と意気込んだ。
三菱電機も29日に開いた経営戦略説明会でDX事業の強化を打ち出した。「セレンディ」と名付けたデジタル基盤に各事業部門のデータを集約・分析し、顧客の課題解決につなげるサービスを展開する。
令和12年度にDX事業の売上高を5年度の約7割増となる1兆1000億円に引き上げる計画だ。武田聡常務執行役は「セレンディ事業を経営の中核に位置付けたい」と述べた。
電機業界の中で早くからDX事業を展開する日立製作所も、さらなる成長を見込み、6年度に約2000億円を投資する。富士通も7年度までにコンサル人材を今年2月の5倍となる1万人に拡大する。東芝やパナソニックホールディングス(HD)もDX人材の育成に力を入れる。
かつては総合電機と呼ばれていた電機各社はDXを中核事業に育てようとする動きが相次いでいる。富士キメラ総研(東京都中央区)によると、国内のDX市場は12年度に4年度比2.3倍となる8兆350億円になる見通しだ。中堅・中小企業にも取り組みが広がり、生成AIの活用拡大も予想されている。
一方で、急速なDX需要の拡大で人材不足が課題となっている。各業界で人材獲得競争が激しさを増している。三菱電機も12年度にDX人材を5年度比約3倍の2万人に引き上げる計画で、そのうち3割は外部からの採用を見込んでおり、「M&Aも検討したい」(武田氏)としている。(黄金崎元)
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