高効率で合成メタン生成、国内初の「SOEC」装置 大阪ガスが完成、試験開始

大阪ガスは5日、水素と二酸化炭素(CO2)から都市ガスの主成分の合成メタンをつくり脱炭素につなげる「メタネーション」のうち、高効率の革新技術「SOECメタネーション」の試験装置を大阪市此花区の同社研究施設内に完成させ、試験を開始したと発表した。

» 2024年06月06日 09時00分 公開
[産経新聞]
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 大阪ガスは5日、水素と二酸化炭素(CO2)から都市ガスの主成分の合成メタンをつくり脱炭素につなげる「メタネーション」のうち、高効率の革新技術「SOECメタネーション」の試験装置を大阪市此花区の同社研究施設内に完成させ、試験を開始したと発表した。一般家庭2軒分のガスを製造できる。

大阪ガスが完成させたSOECメタネーションの試験装置。担当者が手にするのは電気分解のセル=5日午前、大阪市此花区

 同社によると、SOECによる合成メタン製造の取り組みは国内初。今後、装置の規模を段階的に拡大して試験と実証実験を重ね、2030年代後半〜40年ごろの実用化を目指す。

 SOECメタネーションは、太陽光などの再生可能エネルギーで発電した電気で水蒸気とCO2を電気分解し、生成した水素などから触媒反応で合成メタンを製造。合成の際に出る排熱を活用し水蒸気をつくる。

 再エネから合成メタンへのエネルギー変換効率は従来のメタネーションの55〜60%に対して、SOECは85〜90%。その結果、コストの大部分を占める電気代を大幅に抑えることができる。

 電気分解の主要部品「セル」には、従来型の高価な特殊セラミックスに替えて、独自開発した金属板を採用。コストを減らして高効率な電気分解ができ、加工のしやすさから装置の規模拡大も可能になった。

 試験装置は、25年度から一般家庭約200軒分、28年度から約1万軒分の規模に拡大する予定。25年大阪・関西万博の来場者を研究施設まで運び、装置を見学してもらうことも視野に入れる。

 同社の森田哲司・エネルギー技術研究所長は「(政府がCO2排出の実質ゼロを掲げる)50年にはSOEC技術が都市ガスの主力になるようにしたい」と述べた。(牛島要平)

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