経済的成長のみでなく、自然や社会環境などを含めた生活者の幸福度を高めていこうとするもので、世界規模の起業家輩出を目指す。
さまざまな社会的課題に取り組む起業家やスタートアップ(新興企業)を、大学や大手企業の持つ知見や調査・発信力などを活用して育成・支援する組織、一般社団法人「WE AT(ウィーアット)」が立ち上がった。経済的成長のみでなく、自然や社会環境などを含めた生活者の幸福度を高めていこうとするもので、世界規模の起業家輩出を目指す。
同法人は、住友生命や博報堂、キヤノンマーケティングジャパン、東京大、東京医科歯科大など国内の7企業・大学が設立。起業家育成プログラムの開講や市場開拓支援、調査・発信などに協働で当たるほか、資金や協力者などを募るイベントも開催。起業家らを支援する。
海外展開も視野に入れ、JETRO(日本貿易振興機構)の国内海外拠点と協調。都が5月に本格オープンさせたスタートアップ支援拠点とも連携するとしている。
大手企業側にも、スタートアップとの連携で、新たな成長領域を取り込みたいとの狙いがある。
先月、東京都千代田区で行われた同法人の設立発表イベントでは、共同代表理事の(住友生命)が「私たちの目標は消費者や従業員、地域住民を含めたすべての人々の幸福度を高めるためのサービスを提供すること。そのためにはスタートアップやアカデミック(大学)などとの協力が必要だ」と語った。
住友生命では、人口減少に伴って保険事業の収益基盤縮小が見込まれる中、非保険事業の拡大を模索している。昨年10月には、ヘルスケア相談などを専門とするスタートアップ「ファミワン」(渋谷区)と組み、不妊治療に対する職場の風土づくりを支援する法人向けサービスを開始した。
サービス名は「フウドセイバー」で、従業員アンケートや卵巣年齢のチェック、オンライン相談窓口の活用などを通じて企業内で社員が不妊治療に取り組みやすくする。
住友生命新規ビジネス企画部の鳥居翔さんは「サービスを一から作ることを考えると、ノウハウがある人間が会社にはなかなかいない。スタートアップと協働することで、時間やリスクなどの面でのハードルが下がる」と話す。
今後は「WE AT」を通じて、他のスタートアップとも協業していきたいとしている。(山本玲)
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