孫氏は近年注力する人工知能に関し、人類の1万倍の知性を持つAIの進化形「ASI」を実現させると表明。ASIを活用し人類を進化させることを「ソフトバンクの使命だ」と宣言し、引き続き関連事業の推進に全力を注ぐ考えを明確にした。
ソフトバンクグループは21日、東京都内で定時株主総会を開き、孫正義会長兼社長が今後の事業戦略について語った。孫氏は近年注力する人工知能(AI)に関し、人類の1万倍の知性を持つAIの進化形「ASI(人工超知能)」を実現させると表明。ASIを活用し人類を進化させることを「ソフトバンクの使命だ」と宣言し、引き続き関連事業の推進に全力を注ぐ考えを明確にした。
「孫正義はASIを実現させるために生まれてきたんだと、本気で思っている」
「今まで(行ってきた事業)は全部、準備運動だ」
孫氏は総会中こうした言葉を重ね、ASIの開発が最重要課題だという点を何度も強調した。
その根拠として、ロボットとASIをつなぎ合わせることで、あらゆる物理的な作業を人間の代わりに行わせることができるという点を挙げた。物の生産や加工などはもちろん、自動運転技術などもASIを用いて進化させることができると指摘。そのため、各国のロボット開発企業などをグループの傘下に加えていると説明した。
ASI実現の要とするのが、傘下の英半導体設計大手のアームだ。AIの開発には半導体が必要不可欠なためで、孫氏は今後もアームの成長に力を尽くすことを強調。AIの計算処理に必要な機器などを集積させたデータセンターの建築も「総力を挙げて推進する」と述べた。
孫氏はこうした施策を推進することによるASIの実現時期を「10年前後以内ではないか」と予想。人類では解決できない問題をASIが解決することで、人類を幸せにしたり、絶望から救ったりできる可能性もあると期待を膨らませた。
出席した株主からもAIやASIに関する質問が相次いだ。高まるAI需要を受けて成長を続け、今月時価総額世界一の企業となった米半導体大手エヌビディアについて話が及んだ際、孫氏が、2016年に同社の買収を目指して交渉したものの実現しなかったというエピソードを披露する場面もあった。
一方孫氏は、総会を通じてAI以外の話題にはほぼ言及しなかった。傘下のLINEヤフーの情報流出問題についても一切触れなかったほか、「去年20兆円もうかったのは誤差で、どうでもいい」と発言するなど、ASIの実現に自身の頭脳や労力を全てつぎ込む姿勢を鮮明にした。(根本和哉)
copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授