バス業界では運転手不足が深刻化し、路線バスの廃止や減便が相次いでおり、地域の交通手段確保のため、自動運転技術の確立を急ぐ。
鹿島は18日、一定条件下で運転手を不要とする「レベル4」の自動運転バスの実証実験を羽田空港に隣接する大型複合施設で始めた。ソフトバンク子会社で自動運転を手がけるボードリー(東京都港区)などと共同で実施するもので、民間主体のレベル4の実証実験は国内初。バス業界では運転手不足が深刻化し、路線バスの廃止や減便が相次いでおり、地域の交通手段確保のため、自動運転技術の確立を急ぐ。
「自動運転は地域の公共交通の課題解決につながる。これがリーディングケースになることを願う」
同日行われた自動運転バスの出発式で、地元自治体である東京都大田区の鈴木晶雅区長は期待を語った。
実証実験は、令和5年に全面開業した複合施設「羽田イノベーションシティ」内の道路で行う。1周約800メートルのルートを11人乗りの自動運転車「ARMA(アルマ)」が走行する。
自動運転はシステムの支援度合いによって5段階のレベルに分類され、レベル4は道路や気象の条件が整った場合、運転を完全に自動化することができる。当面はスタッフを配置して乗車案内や事故発生時の救護などの対応を行うが、将来は遠隔で監視しながらの運転手なしの運行へと切り替える。鹿島は自動運転の交通インフラ運用の知見を深め、今後の都市づくりに生かす狙いだ。
4月から残業規制が強化されたことを受け、運転手が不足する「2024年問題」の影響はバス業界で最も顕著に出ている。横浜市営バスはこの春に367便を減便するなど、各地で路線バスの減便や廃止が広がっている。日本バス協会の試算では、令和12年時点のバス運転手数は9万3千人の見込みで、必要な人数よりも約3万6千人足りなくなる。
こうした中、政府はバスの自動運転の実用化に向けた支援を、今年度の経済財政運営の指針「骨太の方針」に盛り込んだ。補助金の交付や手続きの簡素化などを進め、全国各地で実証実験を後押しする。今年度は一般道での自動運転について全国約100カ所で計画・運行を行う方針であるなど、社会実装に向けた取り組みを加速する。(織田淳嗣)
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