10代が最も飲むのは「ミネラルウオーター」 背景に美容の低年齢化、安さ、温暖化

「水の日」の1日、SNSでは水に関するキーワードがトレンド入りするなど、若者を中心に水への関心が高まっている。

» 2024年08月02日 09時12分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 「水の日」の1日、SNSでは水に関するキーワードがトレンド入りするなど、若者を中心に水への関心が高まっている。実はミネラルウオーターが10代を中心とした若年層に人気だ。サントリー食品インターナショナルなどが3月に実施した調査によると、高校生や大学生が最も飲む清涼飲料水は、お茶やジュースを抑え、ミネラルウオーターがダントツの1位となった。その理由を探ると、美容の低年齢化や物価高、温暖化といった近年ならではの事象が見えてくる。

清涼飲料水の販売シェアで6年連続首位の「サントリー天然水」

無味無臭がむしろよい

 1都3県の高校生と大学生計500人を対象に行ったこの調査で、好きな飲み物のジャンルを聞いたところ、1位のミネラルウオーターが46.0%を占め、2位のお茶 (21.8%)、3位のスポーツドリンク(11.0%)を大きく上回った。また、その購入頻度は週に1〜4回が42.8%でトップとなり、週に5回以上(18.2%)と合わせると、全体の6割以上が週に1回以上はミネラルウオーターを飲んでいることが分かった。

 なぜ若年層にミネラルウオーターが支持されるのか。同社の多田誠司ブランドマーケティング本部部長は「無味無臭であることが、授業中や部活などのどんなシーンでも飲みやすいことが選ばれている理由にある」と分析する。

 また、メークや美容医療などの美容の低年齢化も理由にある。ネットやSNSで糖質がなくミネラル分を含む「ミネラルウオーターが美容にいい」と広まると、デジタル機器がある環境で生まれ育ったデジタルネーティブ世代の若者らが積極的に飲むようになったという。

物価高で水が選ばれやすく

 近年の物価高で清涼飲料水全体の価格も上昇する中、500ミリリットルのペットボトルで100円前後で購入できるミネラルウオーターは、学生が手頃に購入できる飲み物として支持されているようだ。

 温暖化も需要を後押しする。「猛暑日の中で持ち歩いて、途中でぬるくなっても、ミネラルウオーターは飲みやすいとの声もある」(多田氏)。

 若者の水好きを受け、同社は水の日の8月1日、水好き高校生20人の有志チームによる「ウォーターポジティブ部」を発足。SNSを駆使して情報発信することで、安心した水を飲むためには水資源の保全が大切であることを啓蒙(けいもう)していく活動を始めた。

国産が市場を牽引

 ミネラルウオーターの市場はこの20年で急成長している。日本ミネラルウォーター協会によると、令和5年の国産と輸入を合わせた市場規模は499万6690キロリットルで、平成15年(146万4075キロリットル)比で約3.4倍となっている。

 かつては「ボルヴィック」や「エビアン」といった海外からの輸入ものが人気だったが、近年の円安による輸入品の急騰や、海外で高まる水需要への対応もあり、輸入量は激減。20年前に22.6%のシェアがあった輸入水は5年に3.3%まで減り、現在の市場の中心は国産ブランドへ様変わりした。

 平成23年の東日本大震災を機に、ミネラルウオーターの備蓄が普及したことも市場を後押しする。飲料総研によると、清涼飲料市場の昨年のブランド別販売ランキングは、「サントリー天然水」が前年比7%増の1億3830万ケースで6年連続で首位をキープ。清涼飲料水市場全体をミネラルウオーターが牽引(けんいん)している。

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