打倒ナイキ、アシックスが厚底「エッジパリ」 パナはブレイキンに高品質ターンテーブル

連日熱い戦いが繰り広げられているパリ五輪で、選手の奮闘を日本企業の製品が支えている。

» 2024年08月05日 09時15分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 連日熱い戦いが繰り広げられているパリ五輪で、選手の奮闘を日本企業の製品が支えている。マラソンでは反発力とクッション性が高い「厚底シューズ」でナイキの優勢を覆そうと、アシックスが新製品を開発した。五輪の新競技となったブレイキン向けには、パナソニックが高品質なDJターンテーブルを納入するなど、随所に日本の技術が光っている。

 大会後半にさしかかり、11日(現地時間)に予定される女子マラソンで2大会連続代表の前田穂南選手が履く予定なのが、アシックスの厚底シューズ「エッジパリ」。

 2017年にナイキが厚底シューズを発売して以降、長距離走は「ナイキ1強」の時代が続いた。21年1月の箱根駅伝では出場選手の95.7%がナイキを履き、アシックスはゼロという、同社にとっては屈辱的な状況にまで陥った。

 同社は同3月に厚底シューズ「メタスピード」シリーズを発売して反撃を開始。今年、同シリーズ第3世代として、足の回転の早さで勝負するピッチ走法に適したエッジパリ、歩幅の大きいストライド走法に適した「スカイパリ」を発表した。選手の活躍が今後の需要拡大につながるだけに、同社はレースに関心を寄せる。

 同社はほかにも日本選手団向けに、快適な着心地を追求し、リサイクル材を採用するなど環境にも配慮したオフィシャルスポーツウエアを提供。表彰式や選手村で着用されている。

 選手の成績を上げるだけでなく、競技自体の発展につながった技術もある。DJがかける音楽に合わせて1対1でダンスを披露し、技術などを競うブレイキンにはパナソニック製のDJターンテーブルが公式採用され、日本だけでなく海外選手の競技でも使用される。

 同社は1970年にレコードを高精度に回転させることができる「ダイレクトドライブ方式」のターンテーブルを世界で初めて開発。DJ文化の発展に大きく寄与した。担当者は「当社の製品とともにDJ文化が発展し、ブレイキンという新競技を五輪の舞台で見られるのは感慨深い」と話す。

 一方、パリ五輪は大会に関連して排出される二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス量「カーボンフットプリント」を従来の夏季大会の平均から50%削減することを目指す。こうした目標達成にも日本の技術が貢献する。

 スポーツ用品大手のゴールドウインは、日本と韓国の2カ国のスポーツクライミング代表選手団に、CO2から生成したポリエステルを一部に使った「ザ・ノース・フェイス」ブランドのユニホームを提供。CO2を資源としてとらえて有効活用する「カーボンリサイクル」への対応をアピールする。同社は「五輪を機に取り組みを知ってもらい、他のブランドにも広げていきたい」(コーポレートコミュニケーション室)と話している。

 また、雨模様だった7月26日の開会式で存在感を示したのが、新富士バーナー(愛知県豊川市)が主要部となる燃焼部とガスボンベを手がけたトーチだ。「消えないトーチ」として、X(旧ツイッター)など交流サイト(SNS)で大きな話題となった。開発部の山本潤氏は「自社が磨いてきた技術や品質が世界で活躍できたことは大きな自信になった」と語る。(桑島浩任、佐藤克史、黄金崎元)

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