アイオンは映像や音声に関する膨大な量のデータを圧縮せず光信号に乗せ、超高速で送れる通信技術。遠隔地の人やモノが隣にあるかのような体験を提供でき、来場客によるパビリオンの楽しみ方が広がりそうだ。
NTTグループが2025年大阪・関西万博の自社パビリオンで活用する次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」を、NTT以外の複数の民間パビリオンでも利用する方向で調整していることが分かった。アイオンは映像や音声に関する膨大な量のデータを圧縮せず光信号に乗せ、超高速で送れる通信技術。遠隔地の人やモノが隣にあるかのような体験を提供でき、来場客によるパビリオンの楽しみ方が広がりそうだ。
NTT西日本の北村亮太社長が、8日までの産経新聞のインタビューに明らかにした。
北村氏は「複数の出展企業からアイオンの利用の希望が寄せられている」と説明。「各社がアイオンを使いどんなサービスを展開するかは分からない」としつつ、協力して通信環境を整備するとした。
アイオンはNTTが令和12年の実用化を目指しており、「未来のコミュニケーション技術」として、万博の自社パビリオンで初めて本格的に披露する。
これまでの通信ネットワークでは映像や音声を送るとき一度圧縮するため数秒、遅れる。しかしアイオンの回線は圧縮の過程を経ないため、遅延は従来の回線の200分の1程度。遠隔地の映像や音声をほとんど時間差なく送れ、専用機器と組み合わせて触覚なども共有できる。
北村氏は「リアルとバーチャルを乗り越え、ワクワク感を(来場客に)持ってもらいたい」と語った。
このほか北村氏は、万博に向け整備したアイオン用を含む光回線について、「万博会場敷地内のものは撤去されるが、そこに至るまでの(会場敷地以外の夢洲(ゆめしま)内の)回線は撤去する必要がない」と説明。
隣接エリアで12年秋ごろの開業を目指しているカジノを含む統合型リゾート施設(IR)においても「活用することができるだろう」と述べた。(黒川信雄)
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